『シン・ウルトラマン』を楽しむ
『シン・ウルトラマン』を劇場で見た。『シン・ゴジラ』と同じ庵野秀明総監修・脚本、樋口真嗣監督だが、『シン・ゴジラ』ほどリアルで政治性を感じさせるものではなく、私にはユーモアやノスタルジーを楽しむタイプに思えた。
やはり、ウルトラマンのあの着ぐるみ姿が出てくるだけで嬉しい。私はテレビで「ウルトラQ」が終わって1966年に「ウルトラマン」が始まった時から毎週見ていた。そして「ウルトラセブン」も続けて見た。だから映画で始まって最初の頃は見ていない「ゴジラ」よりも愛着がある。
左腕を水平にし、右腕を立てて「スペシウム光線」を出すウルトラマンの姿は惚れ惚れする。ストーリーは『シン・ゴジラ』よりもこなれていないというか、ネロンガ(なぜか「怪獣」ではなく「禍威獣」)をウルトラマンがやっつけたかと思うと、ザラブとかメフィラスなどの外星人(私は「がいせいじん」と聞いて台湾の外省人を思った)が日本語で政府の要人たちに接近する。
ウルトラマンはもともと「禍威獣特設対策室」=「禍特対」に所属する精鋭の一人、神永(斎藤工)が実は外星人と融合してできた存在で、敵が現れるとウルトラマンに変身する。ザラブやメフィラスはそれを知っていて彼を説得したり、拘束したりする。
「禍特対」はかつての「科学特捜隊」=「科特隊」にひっかけているのだろうが、班長の田村(西島秀俊)がいつも冷静沈着でいい感じ。その上には室長も防災大臣も総理もいるが、彼は相当のところまで判断を任されている。その班に神永と組む形で配属されたのが、公安から来た浅見(長澤まさみ)。
その過程でザラブの仕業でにせウルトラマンが出てくるのはおかしいし(本物とどこか違う)、それ以上に巨大化した長澤まさみが街を歩きだすと開いた口が塞がらない。最近少し太り気味の彼女が不気味なぶよぶよになっている。そしてその動画があらゆるSNSを占拠する。
またメフィラスの居場所を探すのに、斉藤工=神永ウルトラマンが長澤まさみ=浅見の全身の匂いを嗅ぐと彼女は「忙しくて何日もお風呂にはいっていない」と言う。ほとんどセクハラに近いが、笑ってしまう。
冒頭にいくつも怪獣の名前が出て、前半は早口の台詞ばかりでこんがらがっているが、そもそも私にはウルトラマンの記憶が50年も昔のことなのでそれらも気にせず流し、時々笑いながら楽しんだ。
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コメント
なんとも不思議な感覚に陥る時間でした。
2度は行かないと思いますけど(笑)
投稿: onscreen | 2022年5月25日 (水) 09時36分