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2022年5月16日 (月)

関東大震災の映画に興奮

国立映画アーカイブで開催中の「発掘された映画たち2020」にようやく行った。見たのは『關東大震災大實況』(1923)だが、抜群におもしろかった。最近神龍寺で見つかった35㎜に解説台本もあったというからすごいが、これを弁士の山城秀之さんが読み、湯浅ジョウイチさんが伴奏を付けた。

冒頭に「監督撮影 文部省社会教育課」、「撮影 東京シネマ商会」と出るから、文部省がお金を出してどこを撮れと指示をしたのだろう。全5巻で第1巻と第2巻が東京の被害、第3巻が復興、第4巻が横浜、第5巻が皇室だった(と思う)。

一番おもしろかったのは大枠が焼け残った浅草十二階に爆弾を仕掛けて倒壊させるシーンで、「勇敢にも150mの距離から撮影した」と解説があったが、これは迫力があった。とにかく有名な浅草十二階をリアルに見ることができたのが嬉しかった。

最初に出てくる東京各地の焼け野原はすさまじい。帝劇も東大も神田明神も京橋も日本橋三越も丸善も白木屋も浅草のサッポロビール工場も浅草仲見世も横浜グランドホテルもみんな焼けて鉄骨だけになった。まだ燃えている建物も多い。鉄骨だけが残った市内電車もあった。「火災旋風」が発生した陸軍被服廠では3万2千人が死んだという。

上野の西郷さんのように残った銅像には「岡田〇〇、一家で水戸の実家に行く」などという張り紙が無数に貼られている。こんな風景はこれから22年後の1945年の東京大空襲の後とほぼ同じ。改めて、東京は20世紀前半に2回も焼かれたのだと思う。愛国婦人会が炊き出しをしている姿も戦後にそっくり。あちこちで炊き出しがあった。

欧米からは支援物資が送られてきて品川埠頭から引き揚げられた。北は北海道、南は台湾、東は朝鮮から救援隊が駆けつけた。このような国際的な連帯は阪神大震災や東北大震災でもあったのと同じ。しかし朝鮮からまで来るとは。自警団が浮浪者をチェックする場面で朝鮮人が出てくるかと思ったが、さすがに文部省の映画でそれはなかった。

偉そうな大臣たちが集まって会議をするのがわざとらしい。さらに水戸に行っていた皇后が帰って来て上野を視察するシーンには説明役や付き人が30人くらい。昭和天皇になる前の摂政宮は元気に馬に乗って回っていたが、これも周囲に30人くらいいた。皇居前広場が解放されて無数のテントが立ち、避難民が住んでいたのも興味深い。

焼跡にできた店の値段も気になった。理髪は大人20銭、ご飯は7銭、お味噌汁は3銭、ウィスキーは55銭。いやあ、1時間があっという間だった。こんなに状態のいい関東大震災の映像を音楽付きで当時と同じ内容の活弁で見るなんて、還暦の私には贅沢そのもの。

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