人間ドックに考える
毎年、「人間ドック」を受けている。ずっと組織に属してきたので、40歳くらいからは毎年通達が来て、病院に受けに行く。朝食を取らずに8時くらいに病院について、半日過ごす。最近は昔より早く終わるようになって、1時間半くらいか。
先日行ってまず驚いたのは身長。「4㎜減ってますね、もう1回測ります。膝の裏を伸ばして胸を張って」「ハイ」「あら、今度はさっきより1㎝増えました!。最近、腰が悪いですか?」「ハイ、数カ月前にぎっくり腰を」「腰を悪くすると前かがみになりがちです。それはさらに腰を悪くするので、胸を張って歩くことを心がけてください」
以前はコレステロール値が高く、中性脂肪が過多だったが、最近はそれも改善した。10年以上前から胆石がいくつもあったが、胆嚢摘出でそれもなくなった。唯一の懸念は高血圧。昨年は上が145だった。今年は上が137で下が92。
「いつもこんな感じですか?」「週に1度スポーツジムで測りますが、130から150の間です」「高めですねえ。下の90超えの方が気になります」「どうしたらいいですか?」「基本は、体を動かす、塩分を減らす、ですね」「どちらもやっています。酒はどうですか?」「酒は人によりますが、そちら様は毎晩2合から3合と書かれているので、やはり減らした方がいいでしょうね」
検査技師はみんな女性だったが、おおむね親切。ところが、バリウムの胃の検査は高齢の男性だった。これは厳しかった。あのバリウムを飲むだけで嫌なのに、台の上でゴロゴロ動けと指示される。「もっと右をあげて。ぐるっと1回転して、そこで止めて」などとやった挙句に「よく写っていないので、さらにバリウムを飲んで」と飲まされた。男性の声は甲高く容赦なく、拷問のよう。
目や耳などいろいろ終わって、最後に医者の問診。これがヘンだった。30歳くらいの若者だが、白衣があちこち黄ばんでいて汚い。背は低く、いつも妙な感じの笑いをするから「これはモテない独身だな」と勝手に思った。それが相手に伝わったか、「血圧が高いですね」「ハイ、少し」「少しじゃないですねえ」
「みんな大丈夫と放っておくから、ある時倒れます。血圧が高いとその分心臓に付加がかかるんです。60歳を過ぎたら、いつでも倒れると思ってください」「どうしたらいいでしょうか」「薬を飲むんです。飲めば必ず下がるので安心です。保険と思って飲み続けたらいいんです」「今からですか」「そうです」
あまりに強引なので、私はその場で処方箋を出すのかと思った。製薬会社に金をもらっているのだと。ところがそうではなかった。「近くのかかりつけ医に行ってください。どこでもいいんです。種類はいろいろありますが、出してくれるものを飲めばいいです」。何だかいいかげん。
私は降圧剤は副作用が最近よく話題になるのを知っていたが、早く終わりたかったので「そうですか。わかりました」と返事をした。その感じが伝わったのか「いいですか、そうしないとあなたの今後が危ないんですよ。あなたの心臓はバイクを猛スピードで走らせている状態ですから、いつでも事故にあいます」とくどい。普通問診は2、3分で終わるが、10分はかかった。
私は医師の名札を見て覚えた。白衣には「心臓」と英語で書かれているから、専門なのだろう。それにしても妙な医者だった。家に帰って病院のHPを見ると「助教」だったので、まさに30歳前後だろう。その倍は生きた私は、彼の言ったことには従わない。
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