関西の新しい美術館:その(2)京都市京セラ美術館
京都市京セラ美術館は、元「京都市美術館」を全面改装したもので2020年にオープンしたが、まだ行っていなかった。京都市美術館は1933年にできた帝冠様式の堂々とした建物だが、これまではマスコミ主催の大型展か画壇への貸し会場が中心だった。
大阪市の場合は、大阪市美術館はそのままにして別に大阪中之島美術館を作ったが、京都市美術館は建築家の青木淳氏が従来の建物を生かしつつリニューアルをした。結果としては従来のマスコミ主導の大形展、画壇への貸し会場、学芸員の企画展、コレクション展とバランスのよい折衷型を実現している気がした。
何よりも100年近く前の建物のガラスなどを使ったリニューアルが心地よい。これは東京都庭園美術館などと同じパターン。今回は大形展の「ポンペイ展」は遠慮して、学芸員企画の「森村泰昌 ワタシの迷宮劇場」展と「コレクションルーム 春期 特集・気になる京都」を見た。
森村泰昌展は、昨年秋にアーティゾン美術館での収蔵作品との「ジャム・セッション」を見たばかり。アーティゾンでは青木繫の《海の幸》(1904)をモチーフに、明治から現代までの日本人を10通りに見せた。あれだけのボリュームを一から作ると大変だろうと思ったが、今回の展覧会は全く違う。
四角の会場には2つの通路にカーテンがかかっていて、5カ所に「空装門」「烈火門」といった小さな入口がある。カーテンのすき間をくぐって入ると、中にはまたカーテンがあちこちにさがっていて、それが展示壁となり、小さな写真が無数に飾ってある。よく見ると、それはこれまでに森村泰昌が発表した作品を手帳大にしたもの。
つまり、これまでの自分がモデルとなった映画俳優や歌手、絵画の中の人物に扮して撮影した膨大な数の作品だった。すべての写真に森村泰昌本人が写っているから、まさに「ワタシの迷宮劇場」。奥にはカーテンの中にそのうちの10体ほどの衣装があった。
また20分ほどの無人朗読劇《影の顔の声》があった。これは30人ほどがお香を炊いた閉じたカーテンの中に集まって、録音された森村の声で若き日の思い出話を聞くというもの。話の内容はたわいないが、大阪弁の森村の声にシンプルな光が動くのも悪くない。
「コレクションルーム」は有名作家は少なかったが、京都を描いた作品が並んでいて気持ちよく見ることができた。それなりのボリュームもあった。何となくいい気分になって美術館を出た。
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