『リコリス・ピザ』は長かった
ポール・トーマス・アンダーソン監督の『リコリス・ピザ』を見た。実は試写で見ていたが、どうも私には理解できなかったので公開後にアップする。ポール・トーマス・アンダーソンと言えば、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』や『ザ・マスター』や『ファントム・スレッド』などが好きな監督なので期待していた。
ところが私にはどうもピンと来ない。むしろ見ていてイラついて来た。もともと高校生が主人公の映画は邦画も苦手だ。いわゆる受験男子校にいた私は、「楽しい高校生活」にどうも恨みがあるのかもしれない。そして舞台となる1970年代のアメリカ西海岸にはもともと何の興味もない。
見ていて実在した人物や店などが出ているらしいことはわかるが、バーブラ・ストライザンドは実名だし、ショーン・ペン演じるジャック・ホールデンはたぶんウィリアム・ホールデンだろうかとか考えたくらい。そして出てくる当時流行った音楽をさっぱり知らない。
出てきたもので引っかかったのは、主人公が売ろうとする「ウォーター・ベッド」は昔流行ったなあとか、石油危機は日本でも騒いだなあとかくらい。見終わってプレス資料を読むと、地名、店、人物、映画、テレビ、遊びなど1970年代西海岸のあらゆるサブカルチャーが詰め込まれているようだけど。
話は15歳の高校生ゲイリー(クーパー・ホフマン=フィリップ・シーモア・ホフマンの息子!)が高校の写真撮影にやってきたアシスタントの25歳のアラナ(アラナ・ハイム)に恋をして、最初は相手にしなかったアラナが次第に本気になるというもの。しかしお互いに別の異性にも惹かれたりして、物語はロマンスというよりも、ゲイリーがウォーター・ベッドを売り始めたり、ピンボールの店を開店したりという、「起業」の話が中心となる。
10歳上の女性を好きになるのはいいが、どうして高校生が起業できるのかわからない。そしてそれに同意して楽しみながら手伝うアラナもわからない。彼らはいろいろな業界人に出会うが、俳優のジャック・ホールデン(ショーン・ペン)や監督のレックス・ブラウ(トム・ウェイツ)やバーブラ・ストライザンドと付き合っている映画プロデューサー(ブラッドリー・クーパー)など、演じている俳優に驚く。
そんなこんなで最後は二人は仲良くなってめでたしの映画だけど。アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚本賞のノミネートでアメリカ各地の多くの賞を取っているし、日本の評論家も絶賛しているようだ。私は134分間、長いなあと何度も時計を見ながら見た。こういうことがたまにある。
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