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2022年9月18日 (日)

安ワインの話:その(2)

ワインをよく飲む日本人はそう多くはない。だからいつもワインを飲んでいて昔は高級フランス料理店にもあちこちに(フランスにも)行った私は、「ワインに詳しい」ということになる。実を言うとそんなに詳しいわけではないが、ずっと飲んでいるのである程度味はわかると思う。

つまり、値段に比していいワインかどうかはすぐにわかる。1000円前後の安ワインだと、まずチリ産と米国産はやめた方がいい。一般受けするように「うまみ」や「甘味」が無理に付けてあって、何かが舌に残る。これは時々イタリア産にもある。たぶんアメリカを中心に味オンチの国に大量に売るために必要なのだろう。

よくフランスワインは高いからチリワインがお得、と言われるがこれは大きな誤り。チリ産は3000円くらいならばとんでもなくおいしいものがありフランスの5000円に匹敵するが、安いワインはあくまで大衆向けの味付け。ところがちょっと甘いチリ産ばかり飲んでいると、フランス産が物足らなく感じるらしい。それはある時教え子と話して思った。

ディスカウントショップでなくても普通のスーパーの1000円から1500円のフランス産はまず間違いがない。特に南仏のコート・デュ・ローヌが白も赤もオススメ。ボルドーだと意外に白がいい。赤は1500円から。ブルゴーニュは1500円から2000円出さないとおいしくない。

スペイン産は500円から1000円でもおいしいことがある。チリ産のような甘味はないが、時々自然ではない味もあるので注意。うまくすると6、7年たったリオハが1000円前後で買える。

こんなワインを自宅で飲んでいると、レストランに行くと高いと思う。だいたい一番安くて1本5000円からで(スーパーで1500円くらいのワイン)、ヘタをすると6500円が一番安い店もある。だから3000円台のワインがある店は大好きだ。

レストランはいい食材を仕入れて安いコースを頑張って作るので料理ではもうからない、とよく聞く。ワインでようやく元を取ると。そうすると高いワイン代はいいお店が長続きするための支援かと思い、理不尽だと思いながら払う。

日本では数人でレストランに行くと私がワイン担当になるが、実はフランスでも友人たちと行くと私がワインを決めることが多い。実はフランス人の大半はワインの産地もよくわかっていない。彼らは日本酒や焼酎は飲まないので(ビールは飲むが)、ワインくらいもっと勉強しろと思うが。フランスだと、インテリと金持ちはワインに詳しい。

ワインに詳しくないフランス人と飲む時は、だいたいコート・デュ・ローヌの赤を頼む。一番安いものも少し値の張るものも、間違いがない。白はなしで、最初からこれだけで通す。大勢で何本飲んでも変えない。これがなぜかフランス流だ。

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