階段がきつい
かつてよく行った近所の内科はそこの医師が嫌韓、嫌中発言が多くて行かなくなったが、彼が3、4年前に話したことで記憶していることがある。「もうすぐ60歳ですね。グッと体力が落ちますよ。私がそうでした。最近私は70歳になりましたが、70歳でまた別次元で体にこたえることが増えます」
もはや61歳になってしまったが、最近気づいたのは階段を登るのがきつくなったこと。たぶんもう15年くらい前から、できるだけエレベーターを使わずに階段を歩くようになった。きっかけは新聞社にいた頃の「50歳前研修」で、講師の先生から勧められた。足腰が弱くならないように、ということだった。
自宅のアパートは5階、大学の研究室は4階。これを歩いて登り、歩いて降りる。長い間、何でもなかった。調子がいい時は、2段飛びをして駆け上がった。これがこのひと月ほど前から、登りついた時「ふう」と大きく息をして、時には軽いめまいがする。
ある時自宅近くの地下鉄駅の階段を登ったところで少しめまいがして、しばらく座り込んだ。すると自分より明らかに年上の女性から「大丈夫ですか」と聞かれた。「いや、立ちくらみだから大丈夫です」と言って歩き出した。自宅のアパートではさすがにエレベーターを使って家に着くと、楽な服に着替えてソファに倒れ込んだ。
30分くらいたつと全く元に戻ったが、どうも階段が怖くなった。少なくとも駆け上げるのはやめることにした。先日、意識的にゆっくり登った。そうすると全く大丈夫だ。それからエスカレーターで右側を急いで追い越すこともやめた。
昭和の昔、「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く」というスローガンがあった。たぶん車で高速を出すドライバーを諫めるために考えたものだろう。「狭い日本」というのが、なんとなく「広いアメリカ」と比較しているようで昭和な感じがするが、今の私には「そんなに急いでどこへ行く」というのはピンとくる。
私の気分としては「もはや人生でたいしたことはできないのはわかったのだから、そんなに急いでどこへ行く」という感じだが、これではスローガンにならない。とにかくこれまで急いで来た。何かを成し遂げるために。いったいそれは何だったのだろうか。
階段がきつい、に始まって、自分のこれまでの生き方とこれからを考える61歳である。さて私は何をしたかったのか、これから何ができるのか。
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コメント
私は、71歳です。
生き方についても、いろいろ考えさせられますよね。
最近は、いろいろあり、神社にいって、「戦争が早く終わりますように」とか、お祈りしたりしています。
初心にかえって、「一生、うまいものが食えて、おもしろおかしく暮らせますように」と、お祈りしようと思います。
投稿: jun | 2022年9月30日 (金) 21時36分