「アベック」に考える
今朝、「朝日」の別刷りBeを読んでいたら、「サザエさんを探して」で「アベック」という言葉について斉藤勝寿記者が書いていた。この言葉は確かに昔はよく使ったが、今はほぼ死語になった気がする。かつては「アベックばっかり」とかよく言った記憶がある。
大学1年生でフランス語を習い始めたら、「アベック」avecは名詞ではないことを知った。単に「と」という前置詞というか、英語だとwithである。「朝日」には「とともに」「一緒に」と書かれているが、「一緒に」は誤解を招く。あくまで誰か特定の人間「とともに」であって、「一緒に」は日本的な解釈だと思う。
「一緒に行きましょう」とぼかして言う時にはavecは使わない。日本語だと「私と行きませんか」よりも「一緒に行きましょう」の方が使いやすい。もちろん「一緒に行きましょう」On y va ensemble.という言い方はあるが、だいぶ違うと思う。
フランス語はさておき、「アベック」という日本語は「国内では「男女二人連れ」を示す言葉として大正時代から使われ始め、昭和の戦前はモガ、モボの出現とともにハイカラな言葉として広まったという」。モガ、モボは大正時代から始まったので、この説明は少しおかしいが、いずれにせよ百年の歴史を持つ言葉とは知らなかった。
さらに学者の説明では「連れ込み旅館を意味する「アベックホテル」などの出現によって、「アベックはしゃれた言葉からみだらなことを想像する、いやらしい言葉に堕落してしまった」と解説する」。本当かな。
私は「アベックホテル」は聞いたことがない。普通は「ラブホテル」「ラブホ」ではなかったか。洒落たところは「ブティック・ホテル」とか言ったことあった。それから「アベック」に「いやらしい言葉」とは、私は感じたことがない。昭和の感じはするけれど。
記者が娘に「アベックってもう言わないから。カップルだから」と言われたように、今は「カップル」である。「これだと男女に限定しているわけではないので、多様な性のあり方が認められる今こそ適した言葉といえよう」と書かれているが、仏語のavecも男女に限らない。「と」の相手は同性でも子供でも誰でもいい。フランス語は往々にしてロマンチックな解釈をされやすいので、日本では男女になったのだけ。
私も「アベック」はもう使わないが、そんな死語に「バーゲン」がある。これは今は「セール」と言うのを知っているが、どうしても「バーゲン」と言ってしまう。そのほか「チョッキ」とか「ズボン」「半ズボン」とかいつも使っている。
もう還暦になったら、いまさら言葉は変えられない。
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