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2022年10月19日 (水)

徴兵制に思う

最近、韓国の人気グループBTSのメンバーが年齢順に兵役に就くというニュースが流れた。あれほど世界的な名声があるのだから逃れられるかと思ったが、そうはいかないらしい。これまでも東方神起のメンバーなども行っているから、仕方がないのか。

かつてはフランスにも徴兵制があった。1980年代にパリに留学して知り合った友人たちは、兵役を逃れるために海外でフランス語を教えるなどの「民間協力」を探して大騒ぎしていた。当時は日本でフランス語を教えるのが一番人気で、「グランゼコール」と呼ばれる分野ごとのエリート校に行くか、「アグレジェ」と呼ばれる上級の教授資格試験に通るか、あるいはよほどのコネがないと無理だった。

私の友人のセルジュ君は「アグレジェ」の下の「カペス」という教授資格を取ったが、希望した日本には来られなかった。私もあちこちに連絡を取って応援したが役に立てなかった。彼は「アジア志望」を出して、結局タイに2年間行った。それ以来タイびいきになってパリに行くとうまいタイ料理に連れて行ってくれ、今はいい思い出と言っている。

フランスで徴兵制が廃止されたのは1990年代後半、シラク政権の時でこれは歓迎された。最近、マクロン大統領が「軍事奉仕」service militaireというフランス語ではなく「国家奉仕」service nationalという名前で復活させようとしたが、批判を浴びて頓挫した。イタリアは10年くらい前まであったはず。イタリアを旅行すると、若い兵隊がよく日本人女性観光客に声をかけて時間を潰していた。

韓国では19歳になると兵役検査を受けて、進学の状況などを見ながら20代で2年弱も行くらしい。これは長い。「朝日」によれば以下の通り。

「韓国の兵役制度にはもともと、スポーツや芸術の分野で世界的な活躍をし、国の評価を高めた人を対象に、3週間の基礎的な軍事訓練などで義務を果たしたとみなされる特例がある。BTSは韓国アーティストで初の米ビルボード・シングルチャート1位になり、国連で演説するなどの社会活動もしてきた。ただ、「大衆芸能」とされるアイドル活動は特例の対象外で、韓国国会に対象に含める法改正案が出ている」

どうも海外で韓国語を教えるという逃れ道はなさそうだ。日本は1945年以降、徴兵制度はなくなった。憲法に「軍隊を持たない」と書いてあるくらいだから。その環境で何十年も生まれ育つと、「軍隊に入る」という感覚自体が全くなくなる。警察と同じで職業の一つとしての自衛隊はあっても。

もし安倍政権が続いていても、徴兵制だけはできなかったと思う。これに手をつけたら、たぶん国民の9割は反対するだろうから。韓国に兵役があるのは、たぶん朝鮮戦争があったからだろう。北朝鮮だけではなく、中国やロシアも近いので、アメリカ政府の意向だったのかもしれない。それにしてもこれほど豊かになった韓国に、徴兵制反対運動の話はあまり聞かない気がする。

人間の考えや感覚は置かれた環境に大きく作用する。たとえ外国が攻めてきても、徴兵制は日本人にはもはや無理な話だろう。少なくとも私はいやだと思ったら、還暦を過ぎたじいさんは関係ないことに気がついた。

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