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2022年10月 3日 (月)

「地中海料理」とは

たぶんフェイスブックで見たと思うが、「日本料理がイタリア料理、地中海料理に次いで世界の大都市で人気」というニュースがあった。アメリカのEat This, Not That!(「これを食え、あれはダメ!」)というサイトからと書かれていたので、気になって原文を見た。読んでみると、「トリップアドバイザー」で世界の50大都市でどの料理のレストランに行ったかの統計データらしい。

ちなみに4位はアメリカ料理で5位はスペイン料理。これは別にどの料理がおいしいかではなく、一般的に人気があるか、実際に行くかという話である。アメリカ料理とは何かと思ったら、ハンバーガーとフライドポテトの写真があって、確かにマクドナルドは世界のどこにもある。

ということは3位の日本料理も、少なくともパリには無数にある「Yakijapo」「Japotori」などの「インチキ日本料理店」で食べた分が大半だろう。まあ日本人には怪しげな中国人やベトナム人がやる日本料理店でも、おいしいと言うフランス人は大勢いて繁盛しているのだから「インチキ」と言うのはおかしいか。

問題は「地中海料理」で、1位のイタリアと5位のスペインが別にあるので、おかしいなと思った。ところが文章を読むと「フムス」とか「ファラフェル」とか「ムサカ」とか「クスクス」とか。つまりアラブ料理やギリシャ料理が多い。

日本にいると地中海料理と言えば、イタリアやスペインを思い浮かべる。ところが少なくともトリップアドバイザーを使うような欧米人にはもっとマイナーな国の料理が中心なのかもしれない。ちなみに地中海料理は日本料理と同様にユネスコの「食の無形文化遺産」に認定されているが、「イタリア・モロッコ・スペイン・ポルトガル・ギリシャ・キプロス・クロアチア」が含まれるようだ。

それぞれの国が申請したので面倒くさくてまとめたのかもしれないが、それにしてもモロッコ、ギリシャなどが入るのは大きい。共通点としてはオリーブ油やヨーグルト、豆、魚、鶏肉、トマトを使い、とにかく体にいいらしい。その逆が赤みの肉とクリーム、バターを中心とする伝統的なフランス料理だろう。

最近私はフムスやファラフェルなどのアラブ料理に少し詳しくなった。自宅の神楽坂駅近くに「アラビック・レストラン アブ・イサーム」ができて、何度か行ったから。フムスはひよこ豆のペーストで、ファラフェルはひよこ豆をつぶしてコロッケのように揚げたもの、コシャリはスパゲッティにマカロニ、ご飯に揚げた玉ねぎなどを混ぜたもの。日本人にはイタリア料理やフランス料理より馴染みやすいし、まず安い。

日本人でもフランスに少し住んだことがあれば、アラブ料理やギリシャ料理は懐かしいと思うだろう。私が若い頃パリにいた時は、気取らない雰囲気の店でお腹が一杯になるので、よく食べた。全体に野菜が多くて健康にいい感じだし。

これからは「地中海料理」という枠組みで考えたら、いろいろおもしろそうだ。そういえば、私が教えている大学の近くにはモロッコ・スペイン料理店「アランダルース」がある。パエリアもクスクスも食べられる珍しい店だ。さて「モロッコやアルジェリア」と「スペインやイタリア」と「ギリシャやトルコ」の3地域に共通する料理はあるのだろうか。トマトとナスはどこでも使うが。

食欲だけは、歳を取ってもいっこうになくならない。

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