年をとって丸くなるか
「年をとって丸くなった」という表現がある。60歳を過ぎた知り合いに久しぶりに会ったら、白髪の丸顔で色つやがよくニコニコ、そんな感じはよくある。一方で、「いやいや、年を取ると短気で怒ってばかりいる人が多い」と言う人もいる。
私の感触では50歳を過ぎた会社員で周囲から面倒くさがられているタイプは、だいたい短気な人が多い。ほとんど仕事をしないくせに(させられない)、どことなく態度が大きく急に怒る。日頃プライドを傷つけられているせいか、ある時爆発する。
ところが会社や組織を離れた人は、おおむね落ち着いている。たぶん多くは会社員時代の抑圧や不満や嫉妬がなくなって、気楽な日々を過ごしているからではないか。最初に書いた白髪でニコニコのおじさんはそういう人々だ。
さて自分はどうかというと、これは微妙である。大学の教師は会社員に比べたらストレスは少ない。組織ならではの規則や強制はたぶん1/5か1/10である。何より授業の内容はすべて自由なのだから、これは気分がいい。
ところが別の問題もある。不真面目な学生、礼儀を知らない失礼な学生、相手のことを全く考えない学生などはいっぱいいる。それに大らかに接しないといけないのだが、その匙加減は難しい。特に大人数の講義だとある程度の秩序が必要だ。
それ以上に危ないのは、教師は教室では「王様」であること。すべてを自分の思い通りにできるから、これは勘違いも起きやすい。私は大学に移った当初は、むしろ会社員時代よりも怒っていた気がする。大学でよりも、世の中に対して。ここに書いたが、東芝やKLMオランダ航空、ブランドのポール・スミスやCOACHに対して激烈な抗議をした。
そんなことを思い出したのは、先日無印良品で少し揉めたから。私の好きなゲルインキのボールペンが、買ってしばらくしてインキが出なくなった。まだインキの1/4くらいしか使っていない。数週間後に店舗で差し出すと「領収書がない」「インキが出なくなって何週間もたっていては事故の原因がわからない」
すぐに取り換えるかと思ったが、そうではなかった。私は「もういらんよ」と捨て台詞を残して去ったが、その時の先方の態度が悪かった。私は名前を聞いて「このままじゃすまさんからな」と言った。
それから無印の本社と店舗のある池袋西武に連絡しようと思ったが、家に帰ったらどうでもよくなった。その時間が惜しいし、彼が苦しんでも何の得にもならない。昔ならバリバリやったが。しかし数日前のこの事件を思い出すと、私はまだまだ丸くなっていない。
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