「マリー・クワント展」を見る
8日(木)まで渋谷のユーロスペースで映画祭「領土と戦争」をやっていたので、空いた時間に近くのBunkamuraザ・ミュージアムに行った。ここは基本的に所蔵品を持たずに企画展を次々にやる場所で、美術館というよりは展示会場。1月29日まで開催の「マリー・クワント」展を見た。
実は「マリー・クワント」というブランド名は聞いたことはあるし店舗も表から見た記憶があるが、いったい何なのかよくわかっていなかった。ポスターを見て、ロンドンを中心にミニスカートを広めた女性デザイナーだと分かった次第。「丈も時代も超えたミニの女王」と書かれている。ムードとしては同時代のビートルズに近いか。
すごいのは、彼女自身がモデルのように自分のファッションを着てメディアなどに出ていること。ショートカットでくるりとした目で、スタイルがよく脚が長い。自分の店「バザー」の前でミニスカートで思い切りポーズをしている。その軽々しい感じが、1960年代のロンドンの街とピッタリ呼応している。
女性のデザイナーと言えば、シャネルとか森英恵とか川久保玲とかいるが、自分がモデルのように自分の服を着るのが一番の広告になるようなデザイナーはほかにもいるのだろうか。マリー・クワントは1930年生まれで、80年代で50歳を超しても実に若々しくポーズをしている。
この永遠の若さのような感じが、たぶん今でも愛される理由なのかもしれない。あくまで形式にこだわらず自由で着やすい服でありながら、色彩豊かで楽しく、可愛らしい。だいたい1960年だから最近まであまり変わらず、ミニスカート、ジャージドレス、ホットパンツ、タイツと靴、楽しい下着、派手な化粧品などをどんどん量産している感じ。
いわゆるパリ・コレクションなどで新しい服のコンセプトを見せるタイプではないし、富裕層のためのオートクチュールでもない。普通の人が楽しめる、「かわいい」と好きになる、まさに20世紀後半の大衆消費社会をリードしている感じ。今だとユニクロのデザインにも近い気がした。
これはロンドンのヴィクトリア&アルバート・ミュージアムの所蔵品を借りてきた展覧会。このミュージアムは工芸に始まって、ファッション、グラフィック・デザイン、建築など、いわゆる「純粋な美術」以外を集めている。日本にはそんな美術館はないから、今年亡くなった三宅一生さんは「デザイン・ミュージアム」を作ろうと提案してきたが、まだできない。
東京国立博物館には江戸時代までの工芸や着物は所蔵しているが、それ以降は東京国立近代美術館の工芸館(金沢)に「工芸」が保存されているだけ。日本は美術よりも建築やファッションやデザインなら世界と勝負できるので、ぜひ大きな「デザイン・ミュージアム」が欲しい。
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