外国人の読み方をめぐって:その(1)
最近、一番驚いたのは「ジュリエッタ・マシーナ」という読み方は誤りで「マジーナ」と聞いたこと。彼女はフェデリコ・フェリーニ監督の妻で彼の多くの映画に出ていたが、絶対に「マシーナ」だと信じて疑わなかった。
外国人の読み方で最初は間違えていたが、後で変わることがある。マーチン・スコセッシ監督は「スコシーゼ」とか「スコセージ」とか呼ばれていた。イタリア系なので「スコルセーゼ」と呼ぶ人もいた。ただし、ジュリエッタ・マシーナのように、亡くなっても前のままというのも珍しい。
イタリア人に関しては読み方の間違いが多い。日本では英語やフランス語やスペイン語に比べて、イタリア語ができる人の数が圧倒的に少ないからかもしれない。2001年に「イタリア映画大回顧」という映画祭をフィルムセンター(現・国立映画アーカイブ)で企画した時に、女優のシルヴァーナ・マンガーノは「マーンガノ」だと聞いて驚いたことがある。
これは当時、イタリア人の監修者のアドリアーノ・アプラさんと話していて気がついた。「マンガノ」でも可能ということで、表記は「マンガノ」にした。しかし「マンガーノ」の方が妖艶な感じがする。同じようなグラマー女優にジナ・ロロブリジーダがいる。これは「ジーナ・ロロブリージダ」が正しい。しかし「ロロブリジーダ」の方がグラマー感が出る気がする。
当時は配給会社にイタリア語ができる人は、東宝東和でローマ支局員も務めた吉村作次郎さんくらいしかいなかったのではないか。彼が主張しても宣伝部が「いや、ロロブリジーダの方がいい感じだ」と反対したかもしれない。1度定着したら次は変えないというのが映画界の鉄則で、それが今日まで続いている。
その後俳優のヴィットリオ・ガスマンが亡くなった時、ベネチア国際映画祭で追悼上映があった。たぶんディノ・リージの『追い越し野郎』を上映したと思うが、その時に気づいたのはみんな「ガズマン」と呼んでいたこと。しかし日本語としては「ガズマン」は濁音が続いて美しくないから変えたのか。
現在上映中の佳作『泣いたり、笑ったり』の主演はヴィットリオ・ガズマンの息子のアレッサンドロだが、これもアレッサンドロ・ガスマンと表記されている。一度間違ったら、息子や孫の代まで誤りは続く。
ちなみにイタリア語の発音は以下のサイトで名前を入れたら実際に発音が聞ける。Giulietta Masinaと入れると、本当に「ジュリエッタ・マジーナ」と発音する。「マズィーナ」が近いかも。これはイタリア語に限らず世界中の言葉が収録されているので、驚いた。フェリーニくらい有名なイタリア人だと、フランス人の発音まで聞ける。
https://it.forvo.com/
今日はここまで。
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コメント
タクシードライバーの頃はスコシージでしばらく定着してましたね。キューブリックがかつてカブリックと表記されていたのを思い出します。クブリックが原音に近いのではないでしょうか。河瀨直美さんはカンヌではナオミカワゼと呼ばれています。是枝さんはフランス人にはとても発音しにくそうでした。ズビャギンツェフが受賞した時、プレゼンターがかみまくってました。本人がスピーチで「ズビャギンツェフ。簡単な名前なのに」と話して、場内爆笑でした。
投稿: 石飛徳樹 | 2023年1月13日 (金) 08時42分