寒さがこたえる
寒い。10年に1度の寒波というが、私の記憶ではこれほど寒かったことはない。東京で最低気温マイナス3度とか4度とかが3日も続いたのは初めてではないか。1番ぶ厚いコートを着ても、外を歩くとブルブル震えてしまう。
一つには、年を取ると寒い、というのがある。40代までは、身体の中から絶えず熱が湧いてくる感じがあった。いつでも全速で走る用意があるというか、元気が余っていたというか。それが40代後半からしぼんでいった気がする。
その頃に新聞社を辞めて大学に移ったが、それがよかったかどうか、いまだにわからない。しかし大学で自分の時間が増えたことは間違いない。とにかく新聞社では平日は毎日会社に行き、場合によっては土日も出かけた。これはみんな意外に思うが、文化事業部時代の方が短かった文化部記者時代よりも2倍くらい会社にいた。大学は最初は週に4回で、今は3回しか行かない。
その意味では今に至るまでだんだん自由な時間が増える方向に向かっているが、それに伴って体力は落ちていった。それが仕事のせいか、年齢のせいか、たぶん両方だろう。そうすると、冬はどんどん寒く感じるようになった。そもそも昔は体温計などあまり見なかったが、最近は一日に何回も見る。
その日の気温や天気の予測を見て、毎日着るものを考える。だから気温がマイナスになる時は、最大限の服を着て出かけるようになった。そういえば、昔はブーツなどは持っていなかったが、今は12月から3月まで4つのブーツを気温を見ながら代わりばんこに履いている。
最初にブーツを買ったのは、2004年にベルリン国際映画祭に行った時かもしれない。今年も2月16日から始まるが、この映画祭はそもそも主要国際映画祭としては一番北のベルリンの、一番寒い時にやる。マイナス5度や10度はざらにあると聞いて、ダウンのコートとブーツを買い込んだ。
確かに寒かった。しかし意外なことにそれほど辛くなかった。なぜならば部屋に入ると、どこも暖房が完璧だったから。そして映画祭会場はもちろんのこと、アート系の映画館にも小さなカフェにも必ずコートを預かる所があった。ベルリン・フィルのコンサート・ホールに行った時など、コートの内側に着こみ過ぎて暑くて気持ち悪くなったくらい。
ともかく今回の寒さは、身に染みる。ベルリンに行く人の気が知れない。今朝の晴れた空を見ながら、「春よ、来い、はーやく来い」と歌いたくなる。
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