人はいつの間にかいなくなる
3年近く前から、毎朝6時25分から15分間、NHKのテレビ体操を見ている(というか、見ながら体を動かしている)。これは昨年気づいたが、元旦の体操はすごい。普段は指導の3人のうち1人、ピアノの3人のうち1人、アシスタント(実際に体操をする)の女性5人と男性3人のうち5人が交代で出るが、この日は全員で特別なショーを見せてくれる。
ピアノ伴奏は三重奏で、アシスタントたちはサーカスのようなアクロバットまで見せる。ところが今年は指導の3人のうち2人しか出ていなかった。私より年上で今はなき岩波ホールに長年いたHさんに似ている多胡さんがいない。その後も1週間出ていない。考えてみたら、彼は11月あたりまでしか出ていなかった気がする。
もちろん会ったこともないが、週に3日も見ていると知り合いのような気がする。はたして65歳の定年なのか、病気なのか。そういえば、1年ほど前に原田さんという若い女性アシスタントがいつの間にかいなくなった。こちらは結婚したのかと勝手に想像する。
人はいつの間にかふっといなくなる。最近、85歳の学者に必要があってメールを送ったが返事がない。思い切って電話をしたが誰も出ない。彼は一人暮らしのはずだが、ひょっとして病院か施設にいるかもしれない。何冊も本を出しているので亡くなれば死亡記事が出るはずだが、誰も連絡しなければわからない。
「朝日」で12月に気になる記事が2つあった。1つは69歳で女優の島田陽子さんが7月に病院で亡くなった話。亡くなった時に渋谷区が親族に連絡したが遺体の引き取り手がいない。2週間後、渋谷区が荼毘に付した。その後友人が遺骨を両親の墓に入れたという。あれほど有名な方が自治体に火葬されるとは。
もう1つは皇室ジャーナリストの渡辺みどりさんが88歳で亡くなった時のことで、雑誌の編集者が死後3日たって警察に頼んで自宅に入った。こちらは準備万端で、自宅マンションを売って同じマンション内の賃貸に移り住み、公正証書遺言によって弁護士を遺産管理人に指定していた。しかし死亡届も遺体の引き取りも遺族しかできないので、弁護士が連絡すると拒否された。
ようやくマンションのオーナーが死亡届を出し、遺体は弁護士が荼毘に付した。遺書には遺骨やお墓についての指示がなかったので、その後は弁護士も手が出せない。母親の墓のある寺に預けて「墓じまい」をするしかないという。
私も、いつかふっといなくなるのだろう。墓などは遠い話と思っていたが、60代になるとそうでもない。
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