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2023年2月 5日 (日)

残すべき100本のイタリア映画:その(1)

最近見つけたのだが、「残すべき100本のイタリア映画」というリストがある。これは2008年にイタリア文化省とチネチッタの依頼のもとに、日刊紙「メッサジェロ」の当時の映画記者、ファビオ・フェルゼッティが中心となって映画史家など9人の協力を得て作ったもの。

この中にはジャン・ピエロ・ブルネッタのような著名な映画史家やジャン・ルカ・ファリネッリのような映画保存関係者、ジャンニ・アメリオのような監督も含まれているので、古今のイタリア映画に一番映画に詳しいイタリア人たちが作ったリストと言っていいだろう。

さらに「イタリアの集団的記憶を形成した1942年から1978年までの映画」とも書かれている。この意味は明快で、ネオレアリズモの先駆的映画が出てきた年から、ロッセリーニ、ヴィスコンティ、デ・シーカ、ジェルミ、パゾリーニなどの巨匠が亡くなる70年代までの「偉大なるイタリア映画の時代」に違いない。

このリストはネットで見ることができるが、最初の作品はアレッサンドロ・ブラゼッティの『雲の中の散歩』(1942、V)で、最後はエルマンノ・オルミの『木靴の樹』(1978)。一番多くの作品が選ばれた監督はフェデリコ・フェリーニの8本で最初の長編『寄席の脚光』(1950、V)に始まって『白い酋長』(V)『青春群像』『道』『カビリアの夜』『甘い生活』『81/2』『アマルコルド』と続く。

後半の作品を挙げずに初期を重視する傾向はフェリーニに限らず明白で、2位のヴィスコンティ6本は『郵便配達は2度ベルを鳴らす』『揺れる大地』『ベリッシマ』『夏の嵐』『青春のすべて』『山猫』。つまり日本で人気の『ベニスに死す』などのドイツ三部作は含まれない。「イタリアの集団的記憶」ということもあるかもしれない。

3位で5本が選ばれたのはヴィットリオ・デ・シーカ、フランチェスコ・ロージ、マリオ・モニチェッリ。デ・シーカは『靴みがき』『自転車泥棒』『ミラノの奇蹟』『ウンベルトD』『ナポリの黄金』でこれまた初期中心。『終着駅』や『ひまわり』はない。ロージは今や日本ではかなり忘れられているが『メリヤス売り』(未)『シシリーの黒い霧』『都会を動かす手』(未)『黒い砂漠』『ローマに散る』が選ばれている。

個人的に私はロージはもっと評価されるべき監督だと思う。一番の傑作『都会を動かす手』が日本未公開で、『黒い砂漠』はアメリカの石油メジャーの支配を告発したせいか、世界のどこでもDVDが出ていない。もっと知られていないモニチェッリのすばらしさについては後日書く。

 

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