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2023年3月 1日 (水)

電通の闇をめぐって:その(3)

電通出身で東京五輪の高橋元理事が収賄で逮捕されたのは昨秋だったが、今度は発注の談合で電通、博報堂、東急エージェンシーなどが起訴された。何となく同じことのように見えるが、これはだいぶ違う。賄賂は公式スポンサーになるために、企業が元理事にこっそりお金を渡したもの。

つまり企業にとっては「営業」だが、元理事にとっては個人の犯罪である。通常15%の電通への手数料が組織委員会の指導で12%になった分の残り3%相当を元理事がかすめた。組織委員会は元理事の怪しい動きはわかっていたが、スポンサーを探す力は誰もないので任せたというところ。

今回の談合は、完全に電通などの広告会社の組織的な犯罪である。ゼネコンの談合に似ていて、業界大手が集まって毎回の発注先と価格を決めて役所の入札に応じる。役所は知らなくても、いつの間にか金額は高止まりで受注先は各社を回る。

今回の違いは発注する役所=組織委員会の側にも電通関係者がいたこと。高橋元理事を中心に事務局に何人も社員を送り込んだ。そして「マーケティング専任代理店」に選出された電通が、各競技のテスト大会や本大会の運営を各大手広告+イベント会社に割り振った。これが今朝の「朝日」に書かれていた「買い切り」や「回し」の意味だ。

つまり電通「買い切り」でスポンサーの最低金額を保証する代わりに、各競技の運営発注の差配、つまり「回し」をする。その場合も普通は発注金額の数%を元受けの会社=電通がかすめ取るのが普通だ。

新聞社に15年以上いたので、「買い切り」や「回し」の話はよく聞いた。展覧会の宣伝で「東京駅のこの看板に広告を出したい」と言うと「そこはN社の「買い切り」だから、うち経由で「回し」ましょう」という具合。あるいは「朝日」の紙面に「朝日」主催の展覧会のスポンサー企業が広告を出す場合に、あくまで広告会社を中に入れた。

実際は入れなくてもできるのだが、そうすると摩擦が起きるので「回す」。つまり新聞を組織委員会だとすると、各紙面の広告は広告主によって広告会社が違い、面によって広告会社の担当がある。場合によっては一社「買い切り」もある。新聞の広告局と電通は二人三脚でそれを割り振る。私は広告局にいたことはないが、だいたいこんな感じではないか。

だから毎朝の新聞の下半分(=広告)は、談合の産物でできている。今朝の「朝日」は1面トップを始めとして、2面、社説、社会面で「五輪談合 広告業界ぐるみ」(1面見出し)を糾弾している。しかし書いている新聞自体が広告業界との談合で毎日印刷されていることは、どこにも書いていない。

もちろん新聞社は税金を使う組織委員会と違って私企業だから、談合は犯罪ではない。しかし今回、広告業界を偉そうに非難する新聞やテレビには、個人的にどこかわだかまりがある。広告局(今は「朝日」では「メディアビジネス局」と言うらしい!)の人々や電通の社員も思っているのでは。

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