春の夢
「春眠暁を覚えず」と言うが、最近は朝起きるのが遅めだ。何年も前から目覚ましは一切使わないので、起きる時間は気分次第。だからよく夢を見る。ある日の夢では、新宿から自由が丘に歩いていて、アラブ系の少年に注射をされた。
なぜ新宿から自由が丘まで歩くのはわからない。東北大震災の時のみんなが都内で歩いて自宅に帰る映像は覚えているが、私は1人だった。スマホで位置情報を確認しながら、ひたすら歩く。そういえば、昔、自由ヶ丘に好きな女性が住んでいた。
アラブ系の少年は、最近試写で見た6月2日公開のフランソワ・オゾン監督『苦い涙』から来たのかもしれない。ファスビンダーの『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』の自由なリメイクだが、ファスビンダー役を演じるドゥニ・メノーシュはアラブ系の褐色の肌の青年を好きになる。
夢で私の腕にいつの間にか注射をしたのは10歳くらいの少年で「何をしているんだ」と言っても笑っている。私は痛みが来るかと心配したが、何も変わらない。おかしいなあ、と首をかしげているうちに目が覚めた。
別の夢では、イタリア大使館でパーティーだった。イタリア年か何かの打ち上げのようだった。そこの記念集に上半身肌で踊る映画業界の女性たちが写っていた。よく見ると今年の卒業生もいる。それがいつの間にか動画になった。みんなおっぱいを出して踊っている。私は卒業生にはやめなさいと声をかけたが無視された。
もう1つの夢では、私は生のイキのいい魚を何匹も載せた木の箱を持っていた。それを東大の蓮實重彦さんに届けるのが私の役割だった。そこには数年前に亡くなったフランスの映画評論家、ジャン・ドゥーシェのメッセージがあった。授業中の蓮實さんに届けると、彼はメッセージを読み始めた。
するとなぜか私はどこかの屋根の上で『ボヴァリー夫人』をフランス語で読んでいた。まだ翻訳は出ていないので(もちろんいくつも出ている)、原語でこれを読まないとダメだということだった。読むと何かができるはずだったが、忘れてしまった。
屋根の上というのは、最近DVDで見たマルコ・ベロッキオ監督の『肉体の悪魔』の冒頭の鮮烈なシーンから来たのかもしれない。私の夢はずいぶん前の記憶と最近の映画を組み合わせてできている気がしてきた。
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