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2023年4月13日 (木)

練馬区美の吉野石膏コレクション展に考える

「吉野石膏」という会社は建材メーカーだが、よく美術展に所蔵作品が出品されている。「吉野石膏(山形美術館寄託)」という表記も記憶にある。どんな会社か知らないけれど、かなりの美術品を所蔵しているようだ。

練馬区立美術館で「本と絵画の800年 吉野石膏所蔵の貴重書と絵画コレクション」が4月16日まで開催されていて、勤務先の大学に近いので行ってみた。フランス印象派や日本画のコレクション展だと思っていたら、出版と美術の関係というテーマ展だった。

冒頭にいきなり中世の羊皮紙に描かれた美しい時祷書が並んでいて驚く。さらに木版や金属版で作られた本の数々。なかには慶応義塾図書館から借りたものまであって、このテーマで足りないものを国内で探したのだろう。

それから19世紀の木版やリトグラフによる本が並ぶ。とりわけ印象派の画家、カミーユ・ピサロの息子のリュシアン・ピサロが設立したロンドンのエラニー・プレスのロンサールやペローやネルヴァルやミルトンの本は、目を奪うほど美しい。

その合間に同時代のピエール=オーギュスト・ルノワールやジャン=フランソワ・ミレーなどの油絵が出てくる。それもルノワールの《庭で犬を膝にのせて読書する少女》など本に関係のある絵が多い。さらに20世紀のシャガールのリトグラフやマティスやピカソや藤田嗣治の油彩もあった。

後半は「本と絵画で見る日本の芸術」で、若冲に始まって上村松園、安田靫彦、伊藤深水、前田青邨などの大家に日本画が並ぶ。同時に北斎、司馬江漢、棟方志功に至る版画作品も。岸田劉生、安井曾太郎、梅原龍三郎などの油彩もあって、ちょっとした日本近代美術展。

私はこのコレクションがどういう経緯で作られたのか全く知らない。しかし本というテーマが一つあり、同時に印象派から20世紀前半に至る西洋美術、明治以降の日本の近代美術のわかりやすい部分が集まっている。プライベートなコレクションらしい作品群だと思った。

これが先日見た東京国立近代美術館の常設展だと、ちょっと違う。4階左側は「ハイライト」と称して日本の近代美術の代表作を集めているはずだが、上村松園や安田靫彦の日本画に交じって、村山知義の《コンストルクチオン》のようなコラージュのとんでも作品が出てくる。あるいは50年代の草間彌生の強烈な水彩も並ぶ。

東近美の2階の展示はゴリゴリの現代美術だ。2000年以降の作品も購入していて、すばらしい。それから修復の小展示もよかったが、これについては後日書く(かも)。

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