4月になって
ようやく温かくなって、4月になった。大学教師をしていると、毎年卒業式をやってしばらくすると入学式となるので、小津安二郎監督『小早川家の秋』の最後で笠智衆がつぶやく「せんぐりせんぐり生まれてきおる」の気分になる。
この「繰り返しの人生」の感じは、会社員時代よりもずっと強い。しかし今年の4月は何だか新鮮だ。一番はやはり公式に「コロナ禍」が明けて、大勢が集まる入学式やガイダンスが行われたことだろう。何かが確実に変わった感じがある。
そういえば、毎朝見ている(聞いている+手足を動かしている)朝6時25分からのNHK「テレビ体操」がこの4月からまた変わった。「また」というのは、体操をするのが5人の女性だったのが2020年秋に突然男性が加わったから。私はちょうどコロナ禍が始まる2000年の初頭からこの番組を見ていた。
その時から女性3人、男性2人になった。講師役は男性2人に女性1人。まだどこかに「男性優位」が残っていた。ところが今年の1月から私より年上の講師男性がいなくなり、講師は男女1人ずつになった。それが今年の4月には、体操を見せる5人が男2+女3と男3+女2の交互になり、人数の上で男女が全く同じになった。
さらに4月の驚くべき変化は、男女の服装に差がなくなったこと。これまで女子はどこか女性らしさを見せる感じだったが(具体的には思い出せないが、Tシャツにレオタードのようなものか)、男女同じになった。日によって変わる揃いの色のTシャツに、ダブダブの黒い短パンの下に黒い長ソックス。
この春になって、ようやくテレビ体操も見た目には男女平等になった。コロナ禍とは全く関係がないが、この期間に少しずつ変化したのは間違いない。これだとLGBTQの人が混じってもわからない。それ以上に女性のフェミニンな感じを強調しなくなって、見ていて気持ちがいい。
これは男女問題と関係ないが、背景が抽象的な模様から、田舎の春を描いた絵のようなものに変った。これまた優しい感じでいい。個人的には、尾瀬高原とか摩周湖とか永平寺とか、実写だとさらに楽しいが。NHKは全国各地の映像を無限に持っているはずだから。
体操をしているのは20代の男女だが、これに中年や老人が混じったらさらにおもしろいだろう。年によって体の動かし方がたぶん違うはずだから。そしていっそのこと、各自が自由な体操服で出てきたらなおいい。
コロナ禍が明けた(はずの)4月になって、朝早くに体操をしながらそんなことを考えた。
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