『告白、あるいは完璧な弁護』の二転三転
韓国のユン・ジョンソク監督『告白、あるいは完璧な弁護』を劇場で見た。予告編で実におもしろそうだったのを記憶していたら、ちょうど時間が合ったから。結果としては、先の読めないサスペンスに最後までドキドキした。
二転三転という言葉があるが、まさにそれがぴったり当てはまる。あるいは五転くらいしたかも。物語は殺人容疑をかけられた若き社長ユ・ミンホのもとを敏腕の女性弁護士ヤン・シネが訪ねるところから始まる。いかにもサスペンス映画らしい雪に閉ざされた山荘での2人の会話が中心だが、お互いの語りに合わせてその再現ドラマが現れる。
ユ社長の容疑はホテルで若い愛人セヒを殺したことだが、彼はそれは別の人間がやったと言い張る。しかしその前にもう一つ事件があったとして、セヒの運転で交通事故に遭遇したことを語る。偶然の衝突事故で若い男が死んでしまったのだ。ユ社長と別れたセヒは車が動かずに困っていたが、そこに現れたのは親切そうな男だった。実はこの男が、というものでそこまででかなりドキドキする。
弁護士は、車を運転したのはユ社長ではないかと言い、別のストーリーを語り出す。実はセヒが死んだホテルのフロントの女性は、というもので、これまた驚く。ユ社長は弁護士に弁護人契約のサインをさせた後に、実は、とまた別の物語を語る。最後はヤン弁護士自身が実は、というもので新たな回想が始まる。
最終的には真実が見えてきてかっちりと収まるが、5、6通りの回想シーンの嵐に翻弄されまくる。毎回、こう来るかとびっくりする。オリジナルはスペイン映画でこれはそのリメイク版らしいが、ちゃんとコテコテの韓国映画に着地している。特にセヒの車を修理してくれる親切な男が、最初は何気なく現れて、どんどん重要性を増してきて主要人物に躍り出るさまは啞然とした。
最初はゆっくりと進むが途中から加速され、最後まで突っ走る。ユ社長役のソ・ジソブもヤン弁護士を演じるキム・ユンジンもどこかあやしくしかしリアルな存在感を見せつける。真夏にピッタリの、韓国式ミステリー映画。
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