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2023年8月26日 (土)

大学教員の公募について

どうしたら大学の先生になれるのか、これは意外に関係者でないとわからないかもしれない。まず高校までの先生と違って、「教員資格」というものはない。大学で所定の単位を収めて教員免許を取り、自治体などの試験に合格する必要はない。原則は「博士号」だが、「それ相当の実績」があればいい。

大学の先生には2通りあって、専任(専任講師、准教授、教授)と非常勤講師がある。後者は普通は専任がカバーできない特定の分野の専門家に頼む場合が多いが、最近はこれも公募が増えている。

では専任はどうやって選ぶかと言えば、いわゆる公募と、そうでない、つまり知り合いから選ぶ場合がある。「えっ、知り合いから」と驚かれるかもしれないが、私立大学を中心に公募をしていない大学や学部は意外にある。

一般的には語学は公募が多い。これは選ぶのに客観的に判断しやすいから。専門性の高い分野だと、公募をしても適当な人材が応募をしてこない場合もあるので、大学側が積極的に欲しい人材に声をかけてお願いして来てもらう。「知り合い」とはそういうこと。

傾向としては、やはり「公正さ」のために最近は公募が増えている。その場合にも実は候補を考えていて、外見を考えて公募の形を取る「出来レース」もある。あるいは公募でも数名の有力候補に受けるよう頼んで、その中から選抜する場合も多い。

では私は会社員から14年半前にどうやって採用されたかと言えば、「知り合い」方式だった。ある方が候補として頼まれたが受けられず、その人の推薦で決まった。面接というより顔合わせのようなものはあったがそれで決まり、履歴書はその後で出した。「博士号」どころか「修士課程中退」である。

私の本務校の学科は、私の場合も含めて長い間「知り合い」方式だったが、2年半前に私の希望で初めて公募を実施した。分野が私と同じ理論系なので意見が通った。何十通もの応募があり、5名を選んで面接。そして審査員の全員一致で1名が選ばれた。結果としてはすべてうまくいったし、ほかの大学の専任の経験がある方だったので、これまでになかった視点の意見が出てよかったと思っている。

実は現在、私の大学の「映像制作(主にアニメーション)」で1名公募をしている。これは私の分野でないこともあって公募に反対する声もあったが、公募に関する事務は私が引き受けることで了解を取りつけた。勤務は来年4月からで「専任講師か准教授」の専任で期限なし、定年は65歳。

感じとしては30歳から45歳までくらいだろうか。私の年齢からしたら「若手希望」。ジェンダーバランスを考えると個人的には女性がいい。学生は6割が女性なのに、教員は2割もいないから。詳細はサイトを見て、向いていると思う方はぜひ応募してください。あるいはそういう知り合いがいたら紹介をして欲しい。

この数年、いろいろな言われ方をしてきた大学だけれど、個々の教員レベル、学科レベルでは改革の意志があることを、この公募で感じてもらえたらとも思う。今日は実は公募の宣伝でした。

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