『ミッション:インポッシブル』をまた見る
あまりアクション映画は見ないのに、なぜかトム・クルーズの『ミッション:インポッシブル』シリーズは見ている。7作目の『デッドレコニング PART ONE』も劇場で見た。今回はシリーズ最長の2時間43分だが、苦にならなかった。
ロシアの潜水艦が敵に向けたはずの魚雷が自分に跳ね返ってくる出だしがすぐにはピンと来ないが、これがAIの暴走によるものでそれを統御する2本の鍵の行方がポイントとなる。トム・クルーズ演じるハントはその2本を見つけるために世界中を駆け巡る。
砂漠での銃撃戦に始まって、巨大なアブダビ空港での追っかけ、飛行機が着いたローマでは遺跡の間をカーチェイスし、なぜかベネチアに移って運河を使った争奪戦。途中から現れるパリスという名のフランスの暗殺者の娘(ポム・クレマンティフ)が凄まじい。そこまででも十分に堪能したのに、極めつけはベネチアから出るオリエント急行。
そこでは悪役ガブリエル(イーサイ・モラレス)が列車の運転手を殺して最高速度で走らせ、運転室は封鎖されて誰も止めることができない。アブダビからハントを応援するルーサー(ヘイリー・アトウェル)は武器商人のアラナ(ヴァネッサ・カービー)に化けて鍵を奪おうとする。しかしガブリエルは周到に準備をして鍵を2本手にして列車を去ろうとする。
その列車をバイクで追いかけるのがハントで、最高速度の列車に追いつけず、とうとう崖の上からバイクで飛び降りて途中でパラシュートを開いて列車の降り立つ。走る列車の屋根の上での戦いから、最後は爆破された端から一両ずつ滝に落ちてゆく車両からの脱出劇となる。
もちろんハントを後方支援する黒人のルーサー(ヴィング・レイムス)とデジタル技術を駆使するベンジー(サイモン・ペッグ)もあちこちで登場。この2人に元MI6で今回死んでしまうイルサ(レベッカ・ファガーソン)は味方なのだが、後はいったい何者なのか最後までわからない。
ハントがベンジーたちと口にする「それ」は英語ではentityと発音されているが、どうも統御不能のAIのようだ。それを統御するには2本の鍵が必要らしいが、「鍵泥棒」たちをめぐってアブダビからイタリア、スイスまで大騒ぎするアクションというのが、どこか滑稽だ。
その荒唐無稽さを知りつつ、両手を最大に振って必死で走るトム・クルーズはやはりすばらしい。監督は5作目から担当するクリストファー・マッカリーで、このシリーズのコツを完全に体得した感じ。ちなみにタイトルの「デッドレコニング」とは「推測航法」で位置を推測して航海することで、AIに近いようだ。
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