『バービー』に考える
話題の(?)『バービー』を劇場で見た。監督のグレタ・ガ―ウィックはもともと女優として出てきて、『フランシス・ハ』など出演作は必ずしも好きでなかったが、監督作の『レディ・バード』(2017)も『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』(2019)もなかなかの才能だと思った。
今度は何とバービー人形の映画で、予告編を見てわくわくした。ピンク色のワーナー映画のロゴから、始まってすぐにバービー人形の誕生を『2001年宇宙の旅』風に描くところなど、なかなかいい。ところが始まってむやみに明るいペカペカの「バービーランド」がえんえんと続くと、おもしろいけどちょっと平板な感じがした。
そこでは大統領も裁判長も医師もみんな女性で名前はバービー。ラテン系もアフリカ系もアジア系もいるが、中心となるのはマーゴット・ロビー演じるいかにものブロンド美人のバービーで、彼女を慕う男性はいっぱい(名前はみんなケン)。毎日パーティざんまいで、楽しいばかり。
ところがある時バービー(ロビー)の足が平たくなり、太腿にボコボコができる。「へんてこバービー」に相談すると、「リアルワールド」(字幕では「人間世界」)であることだと諭されて、人間の世界に足を踏み入れる。ついて来るのがライアン・ゴズリング演じるケン。そこで彼らは人間界は男性が中心であることを知り、バービー(ロビー)は大人になった自分の持ち主と出会う。
彼らがバービーランドに戻ると、人間の男性中心を知ったケン(ゴズリング)が父権社会の復活を目指し、多くのケンたちが賛同し、無防備なバービーたちも男たちの尻の下に敷かれてしまう。憲法も改正するという直前に、バービー(ロビー)は元持ち主と組んで女性復権を目指す。
ケンたちが『ゴッドファーザー』のDVDでマーロン・ブランドを見て、浜辺で偉そうにギター弾き語りの弾き語りをして「男はこうでなくちゃ」と言い出すシーンや、バービー人形を作ったマーテル社の男性重役たちのそれこそ作りものの人形のような間抜けさなど確かにおかしいのだけれど、どうしてもすべてはカリカチュアの連続。
最後にバービー人形の発明者の老女まで現れるけど、やはり全体に無理があった感じは残る。まあ、ルッキズムの代表のようなバービー人形の世界を描きながら、これほどばっちりとフェミニズムを見せたのは相当の力業であることは間違いないけれど。
映画館ではいかにもアメリカで長年過ごした感じの日本人女性2人組が、いつも大声でゲラゲラ笑って受けに受けていた。そもそもバービー人形自体が何なのかさっぱりわからない私には向かない映画だったのかも。
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