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2023年9月14日 (木)

試写会は変わった

先日、マスコミ試写会に行って知り合いの新聞記者と話した。「もう新聞記者は試写に来ないよね」。確かに彼以外はほとんど見ない。ではどうしているのか。みんなオンラインの試写で見て書いているようだ。

オンライン試写というのは、2020年初夏にコロナ禍で試写会が開催できなくなった時に始まった。試写状が郵送されて来て、そこにオンライン試写の案内が書いてある。名前、住所、所属、書く媒体名などを書いて送ると、先方からリンクが送られてきた。

私のように定期的に書く媒体を持っていないと、これを書くのに躊躇する。そんなこともあってオンライン試写は申し込むのが億劫だった。その年の秋に試写会が復活すると試写状を持って出かけた。そうこうするうちに実際の試写も予約制が出てきた。こうなるとまた「媒体名」を書かないといけない。ある時に冗談で「日大新聞」と書いたら、「その回は満員です」と返事が来た。それ以来、予約も嫌になった。

それはともかく、試写は時間がかかる。2時間前後を拘束されて、前後の移動の時間もある。オンライン試写だとダメだと思ったら途中で止められるので(試写ではさすがに途中では出られない)、忙しい新聞記者には便利だろう。倍速で見ている記者もいるかも。

新聞記者でなくても、試写で知っている人に会うことが減った。そもそも宣伝の側も知り合いが減っている。かつて1980年代後半に足を踏み入れた頃の試写会は、淀川長治さんや蓮實重彦さんや小森のおばちゃまなどの有名人がいる「緊張の世界」だったが、今やほぼ知っている人がいない世界になった。

先日、誘われて久しぶりにハリウッド・メジャーの試写室に行ったら、入口でスマホの電源を切るよう依頼された。先方は電源を切ったのを確認するとそれを封筒に入れて封をして「上映終了後に開けてください」。さらに上映開始直前にスクリーン左側に男性が一人折りたたみ椅子に座り、始まると観客を監視している。

アメリカでも公開していない映画が録画されてネットに流されたらたまらないということだろうが、ビックリした。同時に映画と反対の観客の方を見て2時間も過ごすのはつらいだろうと思った。そのうえ、見たことをSNS等に書くのは何日以降、内容を書くのは何日以降という縛りもあった。コロナ禍以降、ネット時代の試写は大変なことになっている。

 

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