世界のどこが一番おいしいか
マリーズ・コンデの『料理と人生』は、彼女の半生を語りながら世界各地で食べたものや作った料理について語った本である。彼女くらい有名になると、講演やシンポジウム参加などの依頼が世界中から来るようだ、
そういえば、『笑う故郷』(2016年)というアルゼンチン映画でも、アルゼンチンの田舎生まれでスペインに住むノーベル賞作家が、毎日世界中から届く何通もの招待状を秘書が読み上げるシーンがあった。「欠席。欠席。欠席。おっ、これは自分の故郷じゃないか、行こうかな」。そして大変な目に会う。
さて、私が行った地域は欧米中心で偏っているが、それでも大半は仕事でいろいろな国に行った。これまでどこがおいしいと考えたり比べたことがなかったが、『料理と人生』を読みながら考えてみた。
一番おいしいのは何といってもイタリア。シチリア島のタオルミーナの大聖堂前の2階のレストランで食べた焼き野菜。シエナで食べた白トリュフ入りのスパゲッティ。ベネチアのリド島のイカ墨スパゲッティや魚介のフリット。
ローマやミラノやトリノは有名店には行ったが、なぜか印象が薄い。有名店ならば、パリの今はなき「ジャマン」や今は息子の代になったという「ランブロワジー」の繊細な料理の方が覚えている。フランスの普通の店ならば田舎がいい。最近ではリヨンが魚料理のクネルなど、どこもおいしかった。
それから韓国の釜山とソウル、台湾の台北や台中などはどこで食べてもおおむねおいしかった。デパートのフードコートとか、すこし鄙びた屋台でもなかなかよかった。香港はパリに似て、店による。東京もそんな感じか。
どこに行ってもいま一つだったのが、オーストラリアのブリスベンとシドニー。カナダのトロント。アメリカはニューヨーク、ロス、アトランタに行ったが、高い割には、見た目の割には、何か足りない。イギリスの方が最近はいいと思う。ドイツ、フィンランド、スイスはイギリスと同じ。スペインは全体に自然でそれらより少しいい。台湾に近いかも。
なぜこんな差が出るのだろうか。マリーズ・コンデは本の最後に料理に関して「本物の文化を作り上げるには抑圧とそれに対する抵抗が必要」と書いているが、イタリアに抑圧はあるのだろうか。
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