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2023年12月18日 (月)

「和食」展を見る

元・展覧会屋(ランカイヤ)としては、妙な展覧会は気になる。その点、国立科学博物館(科博)はそういう展覧会をよくやる。科博で2月25日まで開催の「和食」展はその代表で、何を展示するのか気になって時間が空いた時に行ってみた。

「和食」が目に美しいのは知られているが、それは金を出して食べるものだ。当然ながら料理は腐るので模型や写真しか展示できない。実物を展示できないのは文学展や建築展と同じで、相当の工夫をしないとおもしろく見えない。

さて科博はどうしたかと言えば、まずは日本の食材を見せた。水の種類に始まって、キノコ、山菜、野菜を見せる。その多くは模型だが、精巧に作られた全国各地のさまざまな実物大の大根が10個以上並んでいるのは楽しくなる。また日本の野菜の大半が渡来物であることも改めて知った。

弥生以前に大根は欧州から、コンニャクは南アジアから来た。飛鳥・奈良時代に来たのは、ナスが南アジア、ネギが東アジア、ニンニクは中央アジア、そら豆は中東。平安・鎌倉にキュウリにゴボウ、室町・安土桃山にカボチャ、ジャガイモ、江戸に玉ねぎ、サツマイモ、キャベツ、人参、白菜、トマトが来た。

これは大きなパネル解説だったが、もちろん覚えたわけではなくて写真に撮った。そして魚の模型の展示は圧巻である。日本の周辺には約4500種の魚類が生息するがこれは世界的にはかなり稀で、同じ島国のイギリスでは300種しかないと書かれていた。確かにフランスのレストランではサケ、タラなど3、4種類の同じ魚ばかり出てくる。

魚の次はすしネタの解説が出てくる。「えんがわ」はカレイやヒラメの背びれの筋肉、「こはだ」はコノシロの幼魚でもっと小さいとシンコ、「白ミル」はナミガイなどなど。私はすしはくわしくないので、これも模型と写真を見ながら写真に撮った。

その後に欧米では食べない海藻類が並び(これは乾燥した実物)、発酵類となる。醤油、酒、酢、味噌、納豆など。それからうまみやだしの説明になる。フランス料理や中国料理では肉や野菜を煮込んでだしにするが、日本は昆布や鰹節となる。

それからは歴史篇となり、縄文時代から弥生時代、戦国時代、江戸時代とその時々の料理の模型が並ぶ。例えば卑弥呼の食卓や織田信長が徳川家康をもてなした本膳料理の再現などは思わず見入ってしまう。卑弥呼の時代に、サトイモとダイコンと豚肉の煮物やマダイの塩焼きのミョウガ添えなどがあるのだから。

大半が模型と写真とパネルだが、そんなこんなでたっぷり楽しんでしまった。それにしても科博恐るべしである。「動物研究部」や「植物研究部」があって、それぞれに20人ずつくらいの研究者がいる。模型見本を作ったりして楽しいだろうな。

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