『悪は存在しない』に驚く
4月26日公開の濱口竜介監督『悪は存在しない』を試写で見て、驚いた。またまた新しい世界を切り開いていたからだ。最初にタイトルが赤や青で鮮やかに出てきた時、「ゴダールじゃあるまいし」と思って心配になった。それは始まってもしばらく続く。
4月26日公開の濱口竜介監督『悪は存在しない』を試写で見て、驚いた。またまた新しい世界を切り開いていたからだ。最初にタイトルが赤や青で鮮やかに出てきた時、「ゴダールじゃあるまいし」と思って心配になった。それは始まってもしばらく続く。
最近、本を読まなくなった。理由はいくつもある。2020年春のコロナ禍開始時にオンライン授業用に買ったカメラ付きパソコンが、軽くて便利でいつも持ち運ぶようになったのが大きい。かつては大学用と自宅用を分けていたが、兼用にした。それからしばらくしてギックリ腰になり、パソコンと共に重い本を同時に運ぶのは避けるようになった。
井上淳一監督『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』を劇場で見た。見ながら真ん中あたりから私が笑いだしたらそれが劇場に広がり、その声がどんどん大きくなっておかしかった。何がそんなにおもしろかったのか。間違いないのは、描かれたのが1980年代前半だから。
今回清水宏をまとめて見て、一番驚いたのは『霧の音』(1956)だった。清水宏はやはり戦前の子供を中心とした映画が有名で、松竹を追い出された戦後は『蜂の巣の子供たち』(1948)などの戦災孤児ものを除くとあまり話題になっていない。大映に移ってからの「母もの」の評価も高くない。
最近見た美術展で驚いたのは、明日まで出光美術館で開催の池大雅展。「生誕300年記念」というから18世紀、江戸中期の画家である。彼の絵はすべて中国風の文人画というか山水画で、炭絵の具を中心に時にかすかな色彩が混じる。
1984年の8月ひと月を過ごしたディジョンでは、もう一つ覚えている。午後の文学の授業でフロベールを読んでいた30代の美人の先生が、学生10名ほどを自宅の夕食に招待した。そこには今の彼氏と元カレの両方がいて、フランスの恋愛とはこういうものかと驚いた。
かつて多摩ニュータウンに住みかけたことがあった。住宅がどんどん高くなっていくバブル真っ最中の80年代末、私は多摩ニュータウンにある公団の新築マンションに申し込んだ。当時は10倍ほどの倍率で「補欠」だった。結局私まで回って来なかったが、当たっていたら住んでいたに違いない。
1984年3月にパリとプラハに2週間行った時、お土産はプラハの百貨店で買った自分用の革のバッグと、パリのクリニャンクールの蚤の市で女友達に買った中古の革のポシェットだけだったと思う。
今回清水宏を何本か見て、一番驚いたのは『明日は日本晴れ』(1948年)。これは最近になって見つかった映画で、見ていなかった。戦前の傑作『有りがたうさん』(1936)の続編と言われているが、確かに田舎のバスの運転手が主人公で乗客と繰り広げるてんやわんやで話が進む。
1984年3月、パリから夜行電車で20時間くらいかけてプラハに着いた私が泊まった3つ星ホテルは、一泊3000円ほどだった。夜の7時過ぎに教えてもらったホテルに着くと、運よく部屋があった。リュックを部屋に置いて何か食べようと外に出るが、真っ暗でレストランやカフェらしきものはない。
リュック・ベッソン監督の『DOGMAN ドッグマン』を劇場で見た。彼の映画を映画館で見るのは、本当に久しぶりだ。1980年代にはジャン=ジャック・ベネックスとレオス・カラックスと共に「BBC」と呼ばれて、地味なフランス映画を刷新する映像派と話題になった。
昨日、朝起きて「朝日」を読んでいたら、1面トップが「単身の高齢女性 4割貧困」で、その下には「20代から男女賃金差」。天声人語には世界初の女性監督、アリス・ギイ。そしてその下の書籍広告は『ジェンダー事典』などすべて女性関連。
フィリピンの巨匠、ブリランテ・メンドーサの映画が普通に劇場で公開されていると聞けば、やはり見たくなる。普通は映画祭でしか見られないから。新作『FEAST 狂宴』を見たが、題名のようなおどろおどろしいものではなく、シンプルに作られた一筆書きのような映画だ。
東京ステーションギャラリーで4月14日まで開催の「生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真」を見た。どこかでポスターを見て気になっていたが、見て驚いた。既に去年から愛知県美術館や兵庫県立美術館で開催されたものの巡回で、生誕百年だから1903年生まれ。
先日、初めてパリに行って荒井さんとランチで牛肉のシチューを食べたと書いたが、その後あれは「ブッフ・ブルギニョン」だったと思い至った。直訳すると「牛肉のブルゴーニュ風」で、赤ワインで牛すね肉や頬肉を煮込むブルゴーニュ地方の料理。
大学院の授業の一環で、国立映画アーカイブで清水宏監督作品の特別試写をしてもらうことになった。配信もDVDもテレビ放映もユーチューブもない映画を何本か見ているが、いやはや、おもしろ過ぎる。
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