「さん」「くん」問題
昨日の「朝日」朝刊オピニオン面に「「さん」「くん」隠れた意味」という大きな記事があった。それを読みながら驚いたのは、最近は小・中学校ですべて「さん」に統一しているらしいこと。もちろんそれはジェンダー意識の表れで、女子は「さん」、男子は「くん」と区別するのはよくないということらしい。
では大学ではどうなのかと考えると、かつては確実に女子は「さん」、男子は「くん」だった。なかには男性の教員で全員「くん」づけの人もいた。古いタイプだった。私は最初からすべて「さん」に統一している。
新聞社にはいろいろあった。男性からすると、女性は全部「さん」だが、男性は同期入社は呼び捨て、先輩は「さん」、後輩は「くん」。「同期」というのがまるで軍隊のようだが、年齢ではなくて入社年次がものを言う社会だった。女性は男性におおむね「さん」と呼ぶが、年の離れた後輩には「くん」もあった。
私が新聞社に入ったのは30歳を過ぎていたので、これは妙な感じだった。それもあって、私は全員に対して「さん」と呼ぶことにした。それが今も続いているのかも。新聞社というか、マスコミ特有なのは「ちゃん」。私はよく社内の年上のひとから「コガちゃん」と呼ばれた。それは親しみの表現だったのだろう。
大学で一番嫌なのは、教員の同僚同士で「先生」と呼ぶこと。学生が呼ぶのは習っているのだからいいが、教えていない相手に「先生」と言われる筋合いはない。だいたい、「先生」というのは、習った先生でなければ医者か弁護士だろう。そうでなければ議員だが、これは自治体や官庁の役人が呼ぶのが広がったのだろう。
要するに立てておいた方が便利という時に「先生」と言う。大学の教員同士が「先生」と呼び合うのはお互いがヨイショしあっているようで、本当にみっともない。私は大学の近所の何度も行った店で「先生」と言われると「やめてくださいよ」と頼む。ほかの客に対してもカッコ悪い。
さて「朝日」の記事に戻ると、弁護士の土井裕明氏は刑務所の例を挙げていた。刑務官は「父親や祖父の年齢にあたる受刑者たちを呼び捨てにしたのです。かげで話題にする際は「やつら」「懲役」と呼んでいました。/逆に受刑者が刑務官に話しかける時には「先生」と呼んでいました」
これが昨年の名古屋の刑務官による暴行事件後に、法務省が「さん」づけを決めたという。呼び捨てと「先生」という関係に私は思わず大学を思いだした。学生を呼び捨てにする先生は多い。学生に「おまえは」と言う先生もいる。大学は刑務所ではない。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 飛行機のトラブル(2026.09.07)
- 美術と映画をめぐって(2026.08.26)
- 本を売る(2026.08.20)
- 人生の僥倖(2026.08.09)
- いつの間にかイタリア映画の専門家に(2026.08.07)


コメント