『ツイスターズ』は抜群
あまりハリウッド映画は見ないけれど、リー・アイザック・チョン監督の『ツイスターズ』を劇場で見て抜群におもしろかった。この監督は『ミナリ』(2020)がいま一つだったが、こちらはお見事なアクション娯楽大作であまり話題になっていないのが不思議なくらい。
1996年の『ツイスター』の続編らしいが、私のようにそれを見ていない者でも全く問題がなかった。最初から最後まで2時間2分があっという間に過ぎてしまう。一応、ディザスターものとも言えるし実際に死者も出てはくるが、それより楽しさを前面に出している。
ケイトは竜巻多発地のオクラホマに生まれ育ち、大学の博士課程で竜巻対策を考案して仲間たちと共に大嵐の日に実験する。ところがそれは大失敗に終わり、恋人を含む3人が死んでしまう。それから5年後、彼女はニューヨークの気象庁に勤めている。ドラマはそこに生き残りの友人ハビがやって来るところから始まる。
彼は出資する会社が見つかって再び竜巻対策をしているが、ぜひ1週間ケイトに手伝って欲しいと頼む。1週間ならと引き受けるが、ちょうど竜巻が異常発生していた時期なので、そこにはユーチューブ目的の竜巻チェイサーたちもいた。ケイトは彼らを無視するが、そのなかに野蛮そうに見えて実は聡明なタイラーがいた。
おもしろいのは、理系女子(リケジョ)のケイトの成長物語として語られること。オクラホマの実家に帰ると、母は訪ねて来たタイラーに彼女が小さい頃からいかに竜巻に魅了されていたかを語る。そして母はまだ娘がその研究で博士号を取ることを期待していると言ってしまう。
終盤、ケイトはタイラーのグループと組むが、その時の竜巻がすごい。ケイトはタイラーの力を借りて前の何倍もしっかりした機材で臨むが、途中でそれをやめて住民を救うことに専念する。ちょうど闘牛競技の真っ最中だがすぐに止めさせて、車を使わず付近の映画館に逃げるよう指示する。
しかし竜巻はすさまじく、『フランケンシュタイン』上映中のスクリーンまで吹き飛んでしまう。みんな映画館の椅子にしがみつくが、天井もなくなり危機一髪。そこでケイトは最後の賭けに出る、という話。
事件後のオチや終わりのクレジットの写真も含めて、楽しい気分になってしまう。この猛暑には一番効く映画かもしれない。そしてあの竜巻の恐ろしさは配信では絶対に伝わらない。
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コメント
涼しい!
これぞサマームービー!
でした(笑)
投稿: onscreen | 2024年8月24日 (土) 14時17分