« 都写美の展覧会2つ | トップページ | 腕時計の話 »

2024年8月26日 (月)

『フォールガイ』を楽しむ

映画業界の友人に勧められて見に行ったのが、デヴィッド・リーチ監督の『フォールガイ』。この監督は『ブレット・トレイン』が何を考えているかさっぱりわからずおもしろかったので気になってもいた。これが大当たりで『ツイスターズ』と共にこの夏最高の娯楽映画だった。

冒頭にライアン・ゴズリング演じるスタントマンのコルトが、高いビルの上から落ちてゆく場面がある。まさに「フォールガイ=落ちる男」で、実はそこで事故が起きて、コルトは入院する。

それから18カ月後、コルトはスタントを辞めてレストランの駐車場係をしていた。そこへ辣腕女性プロデューサーのゲイルから電話が来た。すぐにシドニーに来てくれと言う。行ってみるとそこで監督をしていたのは元カノのジョディ(エミリー・ブラント)だった。

何より、スタントの撮影シーンのすさまじさにワクワクする。全身に炎を浴びるシーンを3回も撮影するのだから。カーチェイスで車は何度も宙を舞い、とても助かるまいと思われても、コルトは不死身だ。

それに比べると、コルトとジョディの愛の復活やスターのトムが企む殺人やそれをかばうプロデューサーの陰謀などはどうでもよくなってくる。あるいは、撮影現場の人々が『ノッティングヒルの恋人』とか『プリティウーマン』とか『テルマとルイーズ』とか映画の題名を出しながら撮影するのも、むしろわずらわしい。

撮影現場を監督の立場からでも俳優からでもなく、あくまでスタントの立場から見るとこうなる、というのが徹底している。ワイヤーやクレーンなどが十分に用意されているので基本は大丈夫だとわかるが、最後はやはりスタントの身のこなしにかかっている。

見ているとハリウッドのアクション映画の撮影はこういうことなのだろうなとわかってくる。カメラが四方八方に用意されていて、どんなカットも撮影可能なのだから。監督のデヴィッド・リーチはスタントマン出身というから、こういう映画を作りたかったのだろう。あえてCGはほとんど使っていない。

映画を作る映画だから『ツイスターズ』ほど素直に楽しめる映画ではないにしても、この夏、ぜひスクリーンで見ておきたい。かつての有名な曲がたくさん出てくる音楽も楽しい。エミリー・ブランがカラオケで歌うフィル・コリンズの名曲には涙が出た。配信では確実に面白さは半減する。

|

« 都写美の展覧会2つ | トップページ | 腕時計の話 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 都写美の展覧会2つ | トップページ | 腕時計の話 »