金メダルに考える
いつものごとく、オリンピックの競技は一度も見なかった。たまにニュースでハイライトをいくつか見た程度。それでも日本の金メダルが20個で、それは世界ランキング3位というニュースは気になった。
昔から、日本人選手が金メダルを取って君が代が流れるたびに、何だか妙な気分になった。最近は金メダルを取った選手が自分を日の丸の旗に包んだり、頬に日の丸マークをプリントしたりするので、いよいよ引いてしまう。金メダルを1つ取ると、日本の保守化、自己満足化が1歩進みようにさえ感じる。
さて金メダルの国別ランキングを見ていて、これはほぼGDPのランキングに近いと思った。アメリカと中国がダントツだから。あるいは映画の興行収入の国別ランキングにもほぼ近い。つまりは金がある国が金メダルを取るし映画も見ると言う論理である。
かつては東欧が異様に強かった。社会主義国は国が金を出して選手を育てていたから。今年のハンガリーが金6個、ルーマニア、ブルガリアなどが金3個というのはその名残だろう。かつての名選手はコーチになっている人もいるだろうし、立派な運動施設もまだ残っているだろうから。それにしてもロシアが出ていたらだいぶ違ったかもしれない。
よく見ると、GDP5位のインドと9位のブラジルはメダル上位にいない。ブラジルは金3個だが、インドはゼロ。これはすばらしい。たぶんインドは国家がスポーツに力を入れていないのではないか。そんなことより先にすべきことがあるという考えか。
スポーツをするのはいい。楽しいし、健康にいい。だけどオリンピックのために国がお金を出すのはどうかと思う。あるいは企業がスポーツ選手を抱え込むのも、結局は宣伝費であり、それは商品の値段に反映される。あるいはテレビ局が放映権を買って、それが広告獲得につながり、物価が高くなる。
日本人に勇気を与えるからすばらしいという考えもあるが、私はそんなカラ元気はいらない。小さい頃からあるスポーツの選手になるべく目指した人はたくさんいるだろう。そうしたら食っていける、あるいはスターになれるから。でもなれない人がほとんど。そんな夢を与えたメディアや国や企業の責任は重い。
スポーツのために巨大な施設を作り、環境は破壊され、オリンピック後には維持費のための税金が重くのしかかる。そんなこと以外に税金の使い道はいくらでもあると思うのだが。こんなことを書くと反論が来そうだが、正直な思いなので書いておく。
| 固定リンク
「スポーツ」カテゴリの記事
- 金メダルに考える(2024.08.14)
- 今一度、オリンピックへの疑問(2021.04.10)
- 今年も学生映画祭やります(2019.11.22)
- それでもスポーツ・クラブに通う(2010.10.31)
- ワールドカップは地球規模の人間疎外(2010.06.15)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 「目まいのする散歩」の実感(2024.09.28)
- 還暦を過ぎて髪は増えるか:その(1)(2024.09.22)
- 咳が止まらない(2024.09.01)
- 腕時計の話(2024.08.28)
- アラン・ドロンのこと(2024.08.21)
コメント