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2024年9月 4日 (水)

ジョージア映画祭に行く:その(2)

今回の特集の一人、ラナ・ゴゴベリゼ監督も古い順に2本見た。この監督は40年ほど前に『インタビュアー』(1978)を見て、あまりおもしろくなかった記憶がある。まず長編第一作『ひとつ空の下ー3つのエピソード』(1961)は3つの時代の女性を3部構成で描く。

この女性監督は母親も監督だったというから、ひょっとすると共産圏の方が女性監督が出やすいのかもしれない。この作品は3つ時代の女性の生き方を描いているが、面白いのは必ずしも女性の主人公を肯定せずにクールに見ていること。

最初は1921年のソ連のジョージア侵攻直後を描く。貴族はソ連赤軍に追われる身となるが、公爵夫人マイアは平民を装って使用人のアンバコとルピノを連れて逃げる。貴族の恋人、ボンドと合流するが、この男はルピノを好きになる。アンバコもルピノが好きだったために、話は複雑になり、悲劇に終わる。

マイアはいかにも貴族然とした様子でそれを馬鹿にしている風もあるが、同時に自分の生き方を守り、馬鹿なボンドを軽蔑する気高い精神の女性としても描かれる。殺人の起きる海辺の夜祭もいい。

2つ目は1941年の独ソ戦開始の直後で、若いカップルのレヴァンとナナを描く。2人は当番で毎週日曜日に高い屋根から敵の飛行機を観察する。ある時、レヴァンは徴兵され、しばらくして訃報が届く。しかしレヴァンが放った鳩が戻って来て彼は元気だとわかる。何も起こらないが、屋根からの街の光景が実に印象に残る。

3つ目は1961年の「雪どけ」の時期。女性建築家はスポーツ宮殿を建設中だが、そこに絵を描いている青年を気に入る。しかし彼には若い恋人がいたというもの。たわいないが、40歳前後で働く有能な女性の微妙な心情が見える。

『インタビュアー』は、新聞記者をしながら、夫、2人の子供、母親と暮らす50歳前後の女性、ソフィコを描く。おもしろいのは、冒頭がそうだが彼女がインタビューする女性たちの語りが時おり急に挟み込まれること。ソフィコの生き方と同時にさまざまな世代の女性の人生が垣間見える。

ソフィコは管理職の提案を受けるが、インタビュアーが好きで断る。夫は管理職になってもっと家庭のことを考えてくれと言うが。そしてある時彼女は夫が若い女性と嬉しそうに歩くのを見る。着飾ったその女を見て、ソフィコは急にお洒落をするが、夫はむしろ嫌がる。彼女の若い同僚のカメラマンは彼女に熱い視線を向けているが。

映画はそのままで終わる。しかし中年女性の生き方を見せる映画としてはかなりよくできていると思った。40年前の大学生だった私には全く興味が持てなかったのも当然かもしれない。

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