久しぶりに海外へ:その(5)
既に帰国したけれど、イスタンブールについてはもっと書いておきたい。トルコという国自体、日本では一般にはあまり知られていない。私もたまにトルコ映画の新作を見るくらいで、あまり考えたことがなかった。
ところが、イスタンブールに行くと、独自の文化を持った「大国」であることがわかる。まず、これまでに食べたことのない料理があった。「ドルマ」というのは詰め物料理だが、ブドウの葉、なす、メロンなどに挽肉、野菜、香辛料を詰めた料理がある。メロンのドルマは抜群だった。
それから「ラフマージュン」という実に薄いピザもよかった。上にはまた挽肉や香辛料が乗っていて、カリカリな感じに仕上がっている。どうも挽肉と香辛料がポイントのようで、これをハンバーグのように固めた「キョフテ」は、どこにでもあるが実にうまい。帰りのトルコ航空の機内食にも出てきた。
日本でトルコ料理と言えば、大きな肉を回転させてナイフでそぎ落としてナンのようなものに包む「ドネルケバブ」が有名だ。これも現地であちこちで見たが、日本にもあるので今回は食べなかった。ちなみにパリでは「ギリシャ・サンドイッチ」と呼ぶ。なぜかと思っていたが、ギリシャは何百年もオスマン帝国に支配されたのだから当然だろう。
今回行く前に歴史を少し勉強したが、オスマン帝国は15世紀に東ローマ帝国の首都のコンスタンティノープルを奪い、中近東、東欧、地中海地域を支配した。アルジェリアなど北アフリカまで支配下にあったというからすごい。そしてそれが小さなトルコ共和国になったのが、わずか100年前の1923年。
つまり巨大な帝国が600年も支配してきたから、独自の文化も料理もあるのが当然だ。今回、1時間半のボスポラス海峡巡りというツアー船にも乗ったが、旧市街、新市街、アジア側とフェリーが行きかい、この海峡の向こうは黒海だった。つまりウクライナとソ連の戦争はほんの目と鼻の先で、トルコのエルドアン大統領が停戦の仲介をしているというのも、あるうる話なのだ。
オスマン帝国が15世紀に作って王族が住んだ巨大なトプカプ宮殿や、東ローマ帝国時代にギリシャ正教の大聖堂として作られてモスクに改装されたアヤソフィアの複雑な様相はその歴史そのもので、見ごたえたっぷり。これらについてはもう一度書きたい。
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