久しぶりに海外へ:その(1)
久しぶりに海外にいる。最後が2019年9月のベネチアとパリだから、ちょうど5年になる。2020年春に始まったコロナ禍も2022年あたりからは海外に行く人も出てきたが、行く気が起こらなかった。考えてみたら2019年までは毎年ベネチア国際映画祭に全日程参加して、主に「日経」にレポートを書いていた。
これがいったん止めると、どうもその気が起こらなくなった。かつてそれが楽しかったのは、たぶん「新聞の映画記者」というかつて自分がなれなかった立場を味わってみたかったからかもしれない。それが2020年5月に『美術展の不都合な真実』を新書で出してからは、コロナ禍もあって急に関心が失せてしまった。
その本を出した時、これで死んだら私の名前は「あの美術業界の暴露本の著者」として残ると思うとたまらない気持ちになった。忽然と「これは映画の本を書かねばいけない」と思い始めてイタリア映画史を書くことに決め、いくつかの出版社に連絡を取って書いたのが『永遠の映画大国 イタリア名画120年史』。2021年6月から書き始めて、1年3カ月かかった。
『美術展』が3刷で中国語版も出たのに比べると、2023年2月に出たこの本はいまだに増刷がない。そもそも初版部数は半分なのに。それでも、個人的な満足感はかなり高かった。イタリア映画のにわか専門家になって、映画パンフやDVD冊子の原稿依頼も来るようにもなった。
この調子で「もう一冊映画の本」と同じ集英社の編集者に連絡を取って、編集部でGOサインが出たのが去年の9月。そしてGW頃には2/3が終わり、夏前に終わる見通しがたった。そこで海外に行く計画を立てた。実際に原稿は第1稿は8月初旬に出したので、ほぼ予定通り。
本の中身は、出版日が決まるまで書かない。集英社の新書は月に4冊出るが、ようやくその順番待ちの列に並んだばかり。もちろん売れる内容ならば順番を飛び越せるが、映画の本だと後回しにされがちだろう。年末か来春までに出たらと考えている。集英社の経営が何かの都合で悪化しなければ、大丈夫だろう。
そんなわけで、順番待ちの間に次の本のアイデアが浮かべばと海外に出た次第。5年たつと、すべてを忘れている。飛行機の予約も仮予約で失敗した。パスポートが切れて申請したが、何が必要かも忘れてしまった。出発の3日前からスーツケースを詰め始めて、1日に何度か開けて少しづつ足した次第。
ひと月前は行くのが億劫だったが、1週間前くらいからようやく楽しくなってきた。さて今どこにいるかは、次に書く。
| 固定リンク
「旅行・地域」カテゴリの記事
- イスタンブール残像:その(6)(2024.11.08)
- イスタンブール残像:その(5)(2024.10.06)
- イスタンブール残像:その(4)(2024.10.02)
- イスタンブール残像:その(3)(2024.09.26)
- イスタンブール残像:その(2)(2024.09.24)
コメント