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2024年10月14日 (月)

『HAPPYEND』の大胆さ

私は先日書いた五十嵐耕平監督の『SUPER HAPPY FOREVER』と空音央監督の『HAPPYEND』をごっちゃにしていた。どちらも今年のベネチアのコンペ以外のセクションに出品しており、日本公開もほぼ同時期。なにより題名が欧文でどちらもHAPPYがある。

最近劇場で『HAPPYEND』を見たが、この2本はともに力作ながらずいぶん違っていた。『SUPER HAPPY FOREVER』が観光地での30歳前後の恋愛をミニマルに繊細に見せたとすると、こちらは近未来の管理社会を舞台に高校生たちが激突する青春ドラマだ。

最初、まるで坂本龍一の「戦メリ」のような音楽が聞こえて「やはり空音央監督はお父さんの影響が大きいのか」と思ったが、明らかに外国人を含む高校生たちが夜中にクラブにゴマ化して入ったり、校内で騒ぎ出す熱量の高さにそんな思いはすぐに吹っ飛んだ。

ユウタとコウの校内での騒ぎを契機に、校長(佐野史郎)はAI監視システムを導入する。校内のあらゆる場所にカメラがあり、煙草を吸ったり、先生に逆らったりすると、即座に減点が始まる。その様子は中庭の巨大スクリーンに示される。高校生は「あと何点減点だと退学か」とわかるからビクビク。

おもしろいのは1/3のほどの生徒が外国籍であること。授業の一環で制服を来た自衛隊員が自衛隊の勧誘をする時間があり、先生は「日本国籍のない生徒は関係ないので外に出てください」という場面でわかる。見た目が違う白人系やアフリカ系もいれば、日本人と見分けがつかないアジア系も多い。しかしみんな日本語を流暢に話す。

アメリカやフランスならこんなのは普通だろうが、急激に外国人が増えつつある日本もいずれこうなるかもしれない。映画の主要メンバーのコウは在日コリアンで、政治意識が高い。コウを理解できないユウタは離れていき、コウは同じく学校に強い不満を持つ勇気ある女子フミに惹かれてゆく。

「青春ドラマ」と書いたが、日本映画に多いたわいない高校生ものとは違って、この映画の登場人物たちの悩みは実に深刻でカメラはその重さを刻一刻と捉えてゆく。演じている高校生はオーディションで選んだ素人がほとんどらしいが、とてもそうは思えないほど真に迫っている。

日本には珍しい政治的な映画だが、俳優も映像も音響も実に繊細で同時にパワフルで、これまた今後が楽しみな監督が出た。この監督が昨年発表した父親=坂本龍一のドキュメンタリーも見てみたい。

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