秋に考える
ようやく、秋らしい季節になった。こんなに夏が長くなったのはいつ頃からだろうか。はっきり覚えているのは1985年10月1日のこと。パリ留学から7月末に戻り、そのまま就活をして西武百貨店から内定をもらったのが8月末。
当時、10月1日は正式な新卒採用解禁日だったが、当然ながら多くの企業は内定者を出していた。10月1日は内定者がほかの企業に行かないため「拘束」の意味で「内定者説明会」があった。
内定した学生は男子は全員背広にネクタイで出かけた。暑かった記憶はない。覚えているのは、西武百貨店の人事部担当者が仕立てのよい冬物のツイード・ジャケットを着ていたこと。季節を先んじるのはさすが百貨店と思ったが、今では10月1日にツイードはありえない。
結局西武には行かず、大学院に1年だけ行った後に働き始めても、夏も長袖シャツを着てネクタイをしジャケットを手に持っていた。新聞社に転職して少しラフになったが、夏はネクタイをしないだけで上着は持っていた。
1990年代には省エネルックというのがあって、半袖ジャケットを羽田首相が着ていたが、全く流行らなかった。2005年からの小泉首相の「クール・ビズ」あたりからようやく、ジャケットとネクタイなしが定着したと思う。実際気温が高くなったし、冷房の節電の意味もあった。その頃から日本の夏はどんどん暑くなった。
同じ頃、ヨーロッパの猛暑も始まった。パリで最低気温が25度という日本の真夏日もあって、猛暑による老人の死者が千人を超したニュースがあった。それでも私が2016年に3月から9月までパリで過ごした時はすこぶる快適だった。
5月半ばにカンヌ国際映画祭からパリに戻ると、最低気温が10度、最高が20度くらいになった。7月からこれが18度~25度くらいで9月半ばまで続いた。湿度が低く、夏のパリの散歩は昼間でも実に心地よかった。
ところが6月にイタリアのボローニャの復元映画祭に行くと、猛暑がこたえた。8月にローマに行った時は日本より暑くて外を歩くと地獄状態だった。ところがパリに戻ると実に気持ちがよかった。7月にベルリンに行ったが、これまた快適だった。
今年の9月初旬にパリで数日過ごしたが、13度~23度くらいで夏のジャケットを着てちょうどいい感じ。そこで思いついたのが、定年退職したら、毎年7月から9月までパリで過ごすこと。2016年のようにアパートを借りたらどうだろうか。そんなことを考えている。
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