映画ばかり見てきた:その(2)
昔、フランスの記号学者で小説家のフィリップ・ソレルスが「映画で感動するというのは、大半は作り手の計算に乗せられることで、私は今はその「操作されている」感じが嫌で映画に行かなくなった」と語っていた。
昔、フランスの記号学者で小説家のフィリップ・ソレルスが「映画で感動するというのは、大半は作り手の計算に乗せられることで、私は今はその「操作されている」感じが嫌で映画に行かなくなった」と語っていた。
去年に引き続き、今年も東京フィルメックスは東京国際映画祭と時期をずらした。2020年から同じ時期にしたが、2年やってみたら集客が難しかったというところだろうか。今年は去年よりさらに時期をあけている。見る側としてはその方がいいのは間違いないが。
深田晃司監督の新書『日本映画の「働き方改革」 現場からの問題提起』を読んだ。彼が2020年に濱口竜介監督らと「ミニシアター・エイド基金」を立ち上げ、22年には是枝裕和監督たちと「action4cinema 日本版CNCを求める会」に参加したあたりの文章は読んでいるので、彼の主張はわかっているつもりだった。
フェイスブックには数年前の同じ日の投稿を見せる機能があって、昨日挙がってきたのは10年前、2014年11月23日の「朝日」のオピニオン面の「私の視点」に私が投稿した原稿だった。
私は毎週金曜日の夕刊各紙を買う。映画評や広告が載っているからだが、先週末にある写真にドキッとした。アメリカ映画『ヴァラエティ』のもので、どこかで見覚えがあった。読んでみると、1983年のベット・ゴードン監督の作品という。
ブリヂストン美術館がアーティゾン美術館となってオープンしたのはコロナ禍が始まった2020年初めだったが、今やすっかり京橋に馴染んでいる。とりわけ最近は隣のビルも完成して周囲にベンチがたくさんできて、いい感じになってきた。
森井勇佑監督の『ルート29』を劇場で見た。この監督の第1作『こちらあみ子』は見ていないが、日本に遊びに来ていたフランス人が『ルート29』がおもしろかったと言ったので見に行った。冒頭の修学旅行中の中学生が隠れて煙草を吸うシーンから目が点になった。
上野の東京都美術館で「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」を見た。私はかつて10年以上美術展の企画の仕事をして『美術展の不都合な真実』という本まで書いたにもかかわらず、この画家は名前さえ知らなかった。
もう15年以上大学で映画を教え、定年まであと2年と少しになった。若い頃から大好きだった映画を仕事にできて、本当に運がよかったと思う。しかし同時に、これでよかったのかと考えることもある。
フランス映画はSFやホラーが苦手である。恋愛や子供の世界や社会問題は得意だが、「リアル」を離れた表現はうまくいかない。従来はアクションもヘタだったが、最近はリュック・ベッソンなどの活躍でそうとも言えない。
映画は見たすぐに書かないと印象が日々薄れていくが、本や展覧会の場合はだいぶたってからでも書ける。本は現物が目の前にあるし、展覧会はチラシやHPの絵を見れば思いだすことができる。だから書くのが遅くなるのも出てくる。
現在、大阪で塩田千春の個展が開かれている。それで思い出したのはイスタンブールの最終日のことだ。前日に遊覧船でボスポラス海峡めぐりをした時に、船からIstanbul Modernという大きなロゴが見えた。ヨーロッパ側の新市街、カラキョイ地区にあって近くには豪華なペニンシュラ・ホテル。
今日で4日連投だが、やはり映画祭は早く書いた方がいい。今日の夜に受賞結果が出た後だと間が抜けてしまう。作品評の前に会場問題について一言。これは最終的には「専用会場」が必要になる。カンヌなど三大映画祭にはあるし、釜山も作った。もちろんこれらの映画祭も通常はほかのイベントに使っている。本当は東京都が都庁跡地に国際フォーラムを作る時に考えるべきだった。
昨日、久しぶりに連日で文章をアップした。昨年9月末の毎日ブログ更新停止宣言からだいぶたつが、東京国際映画祭なので書くネタはたくさんある。この映画祭は数年前に六本木から銀座・日比谷に移った。これはもともと私が希望していたことなので大歓迎だった。
東京国際映画祭で相変わらずダメなものの1つに、「デイリーペーパー」がある。これは国際映画祭には必須で山形国際ドキュメンタリー映画祭は最初からあったが、東京国際には長らくなかった。できたのは2000年頃からか。それから全く進化していない。
東京国際映画祭といえば、今年のメインビジュアルはいかにもヘンだ。まるで女性誌の表紙風だし、あまりに着飾っているので誰も菊地凛子だとはわかるまい(私もわからなかった)。これは数年前から同じで、これだけで観客を失っているのでは。
先日、道を歩く時に目まいがしたことを書いて武田泰淳の『目まいのする散歩』に触れたが、実際に読んでみた。手軽な文庫版を買って読むと、これが妙におもしろい。小説家が夫婦であちこちを散歩する話である。
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