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2024年11月 8日 (金)

イスタンブール残像:その(6)

現在、大阪で塩田千春の個展が開かれている。それで思い出したのはイスタンブールの最終日のことだ。前日に遊覧船でボスポラス海峡めぐりをした時に、船からIstanbul Modernという大きなロゴが見えた。ヨーロッパ側の新市街、カラキョイ地区にあって近くには豪華なペニンシュラ・ホテル。

これは日本の観光ガイドには「イスタンブール現代美術館」と書かれているところで、たぶんフェリーの中でオラファー・エリアソン展が開催中という告知を見たので興味が湧いた。旧市街のカドキョイ地区でおいしい昼ご飯を食べて散歩した後、フェリーに乗ってカラキョイに着いた。そこから歩いてすぐのところにその美術館はあった。

その建物は巨大な庭の奥にボスポラス海峡に向かって建てられた横に長く4階のモダンな建築で、後で調べたらレンツォ・ピアノだった。企画展会場がオラファー・エリアソン展で、よかったのは海に向かうガラスの壁面を利用した展示があったこと。外に見える海や船を鏡に写したり、穴から見たりして虚実の戯れが表現されていた。

もちろん黄色の光に満ちてすべてが黄色に見える空間や真っ暗の中であちこちから水が飛び出して光る空間などエリアソン特有の作品も多く、たっぷり楽しめた。展示スペースとしては都現美の時より少し狭いくらいか。この展覧会は7月から開催されており、来年の2月9日までだから半年。このくらい長くやるのはいいなと思った。

塩田千春展は「ポップアップ・ギャラリー」と名付けられた小さめの300平米ほどの展示室で、赤い糸が張り巡らされた森のような空間のあちこちに古びたスーツケースが置かれている。観客は小さな道を通ってその森を巡るような形。ある青年は、本格的なカメラを持ち込んでお洒落した恋人を何度も写真に撮っていた。

塩田千春展には入口に日本の国際交流基金のロゴがあったから、資金援助しているのかもしれない。常設展を覗くと、トルコの20世紀初頭から現在までの現代美術が並んでいてなかなかのレベル。あちこちで欧米の影響を受けていて、何となく日本の現代美術に近い気がした。また写真ギャラリーでは2つの個展があって、こちらも見ごたえがあった。

美術館を海側に出ると多くの若者たちがくつろいでいた。さらにその場所は「ガラタポート」と呼ばれるできたばかりのショッピングモールに繋がっていて、カフェやお店にもたくさんの若者が。それからタクシーでタクシム広場に行ってその賑わいを見た後、市内電車で旧市街のホテルに戻った。

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