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2025年3月24日 (月)

『名医が教える飲酒の科学』に学ぶ

池袋の三省堂書店で『名医が教える飲酒の科学』を手に取ったら買ってしまった。目次を見たら「なぜ酔っぱらっても家に帰れるのか」とか「酒乱かどうかの決め手は「記憶の飛び」」など書かれていたから。

ちなみになぜ家に帰れるのかは、この本を読めば簡単。自宅に帰るのは「長期記憶」のおかげ。これは酔っていても容易に取り出すことができる。酔って記憶をなくしたり同じことを何回も話すのは脳の海馬に影響が出るから。「海馬の機能が低下すると、新たなことを覚えられなくなり、何度も同じ話をしたり、お金を払ったことを忘れてしまうのである」

お金を払ったかどうか覚えていないことは、私にはよくある。特に人数の多い飲み会だと飲み過ぎて、何の話をしたのか、誰が払ったのか、どのようにして帰ったのか、すべて覚えていない。しかし朝になると、ちゃんと帰宅してシャワーまで浴びて寝ていることに自分で驚く。

さて「記憶の飛び」を「ブラック・アウト」と言うらしいが、「酒を飲んだときに記憶が消えた経験がある人は、酒乱の素質がある」。私のことだ。「ブラック・アウトの特徴は、本人には記憶がないのに、周囲から見ると普通に行動しているように思われること」「海馬は大変な状況になっているのに、脳内では空間的な認識を司る中枢部分や言語中枢は働いているため、普通に会話したり、家に帰ったりもできる」

そして「普段、ブラック・アウトを頻繁に起こしている人は、記憶力そのものが徐々に低下する可能性がある」。私が最近、映画監督の名前や作品名が全く出てこないのは、25歳くらいから働き始めて時々酒を飲み、30歳半ばから30年間ほぼ毎日飲んでいるからに間違いない。

この本で書かれている一番大事なことは酒の量だ。「なるべく病気のリスクが上がらない飲酒量」は一日平均アルコール換算で約20g。これは「ビールなら中瓶(500ml)1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2、3杯」「女性はアルコールの影響を受けやすいのでその半分から3分の2程度」

「逆に、どれだけ多く飲むと体に悪いかについては、毎日60g以上飲むとがんを始めとする病気のリスクがあがる」。私は日本酒だと毎回3合飲むのでちょうど危険水域。そして累積飲酒量によってリスクは上がる。23gでも10年で1.05倍、30年で1.2倍。表にはないが60g、30年だと2倍は超えるだろう。

ちなみにWHOが開発したAUDITという10の質問からなるテストが本にある。やってみたら私は19点で「危険な飲酒」(依存症予備軍)だった。20点以上が「早急な治療が必要」(依存症群)なのでギリギリ。これは危ない。そのうえ「高齢者は、アルコールの分解速度が遅かったり、体内の水分量が少なかったりという理由で、少量の飲酒でもよい方がひどくなりがち」「高齢者の場合はアルコール依存症になりやすい」

さて「どうすればよかったのか」はもう遅いので、これから「どうすればいいのか」。「最も注目すべきポイントは「お酒の総量」」。酒と共に水を飲む、ゆっくり飲む、食べ物も一緒にとる、などで減らしてゆくしかない。1週間前にこの本を読んでから、実は飲む量が減った。やはり本は役に立つ。

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