『季節はこのまま』に流れる時間
5月9日公開のオリヴィエ・アサイヤス監督『季節はこのまま』をオンラインの試写で見た。いわゆる「コロナ禍」の外出禁止令の時期を描いた映画という意味では、1週間前に公開されたロウ・イエの『未完成の映画』と同じだが、雰囲気は全く違う。
5月9日公開のオリヴィエ・アサイヤス監督『季節はこのまま』をオンラインの試写で見た。いわゆる「コロナ禍」の外出禁止令の時期を描いた映画という意味では、1週間前に公開されたロウ・イエの『未完成の映画』と同じだが、雰囲気は全く違う。
買っておいた麻田雅文著の新書『日ソ戦争』をようやく読んだ。オビに加藤陽子、小泉悠の両氏絶賛だし、去年の新書大賞2位という。そもそも「日ソ戦争」というのは何か。「第二次世界大戦末期にソ連がドサクサに紛れて参戦した」くらいに思っていたが、とんでもなかった。
5月9日公開のジャ・ジャンクー監督『新世紀ロマンティクス』を試写で見た。最近の作品は、『山河ノスタルジア』(2015)も『帰れない二人』(2018)も20年ほどの中国の激変を生きる男女を描いたもので、強い感銘を受けた。
5月2日公開のロウ・イエ監督『未完成の映画』を見た。最近、ドキュメンタリーと劇映画の境界がどんどんなくなっているが、これはその典型だろう。最初に「10年前に撮った映像を完成させよう」とスタッフがパソコンを動かし始める場面から、ドキュメンタリーのようだ。
4月25日公開のリウ・ジアイン監督の中国映画『来し方 行く末』を試写で見た。始まった瞬間に「あっ、これは東京国際映画祭で見た」とわかった。後で調べてみたら2023年秋で『耳をかたむけて』という題だった。
4月17日刊で集英社新書から『ヌーヴェル・ヴァーグ 世界の映画を変えた革命』を出した。前著の『永遠の映画大国 イタリア名画120年史』を同じ集英社新書から出たのが2023年2月だから、2年2ヵ月かかったことになる。
フランスのジャック・オーディアール監督は作品ごとにとんでもないテーマで映画を作る才人だ。共通するのはドラマチックな物語だと思っていたが、前作の『パリ13区』では、無職の30代の男女の交わりを実にクールに描いていて驚いた。
「定点観測」という言葉がある。同じ場所にカメラを据えて、時間をおいて撮り続けたものだ。写真が多いが、動画もある。しかし2時間近い映画のほとんどを定点にカメラを据えたハリウッド映画は、ロバート・ゼメキス監督の『HERE 時を超えて』が初めてかもしれない。
中条省平さんの最終講義に行った時、最初のあたりで中条さんが触れた本がヤニス・バルファキス著『テクノ封建制』。なぜこの本について話したのか思いだせないが、たぶん1960年代後半について話す導入として現代の資本主義がどのように変わったかを言いたかったのかも。
アラン・ギロディ監督は20年ほど前からフランスで注目されて、海外や東京日仏学院で数本を見ていたが、日本では劇場公開されなかった。今回、3本が初めて映画館にかかるというので見に行った。『湖の見知らぬ男』(2013)は一度だけ行ったトロントで見ていたので、最新作の『ミゼリコルディア』(2023)を見た。
昔、吉祥寺に「バウスシアター」という映画館があった。私は大学を出てから上京して最初は練馬区の端にある関町に住んだが、そこからバスで吉祥寺に近かったので、よく行った。映画館と周辺一帯に中央線独特の妙な匂い(?)があって、田舎から出てきた者には微妙な感じだった。
エドワード・ベルガー監督の『教皇選挙』を劇場で見た。アカデミー賞脚色賞だが、今年の受賞作では一番おもしろいのではないか。何よりもたたみかける巧みな脚本のサスペンスとそれを盛り上げる美術、そして抑制の効いた演出が際立っている。
3月末は大学は春休みで桜の花見もあって、自宅の周辺をよく歩いた。住んでいるマンションは現在、改装工事中で、中にいると暗いし物音がするしで不快度が高い。そのうえ、万歩計を始めたこともあった。歩く、歩く。
足立正生監督の『逃走』を劇場で見た。この映画と、7月に公開される高橋伴明監督の『桐島です』が作られているというニュースを知った時、どちらも見たいと思った。それは世代的なものだろうか。私は1974年、中学生の時の三菱重工爆破事件のニュースをよく覚えている。血だらけの会社員たちが大手町のオフィス街を彷徨う光景を。
東京国立近代美術館は、ときどき私が全く知らない美術作家の個展をやる。6月15日まで開催の「ヒルマ・アフ・クリント展」がそうで、この画家は全く名前を聞いたことがなかった。1862年生まれのスウェーデン出身で、カンディンスキーやモンドリアンの同時代人という。つまりは最初の抽象画家世代である。
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