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2025年5月21日 (水)

『太陽の運命』は必見

佐古忠彦監督のドキュメンタリー『太陽(ティダ)の運命』を劇場で見た。この監督は『米軍が最も恐れた男 その名はカメジロー』(2017)を見て強く心を動かされた。TBSの監督だから今回も映画のトーンはテレビ調なのだが、それでもTBSと系列の琉球放送(RBC)が持つ映像を駆使して語られる沖縄の現代史に文字通り圧倒された。

中心となるのは、1972年の本土復帰後の第4代知事・大田昌秀(1990~98年)と第7代の翁長雄志(2014~18年)。その間に稲嶺恵一と仲井眞弘多がいるしこの映画でもインタビューに答えるが、どうも影が薄い。私にも大田と翁長は政府と徹底的に闘った印象があり、この映画はこの2人を中心に復帰以降の沖縄が語られる。

大学教授出身の大田は、1995年に軍用地強制使用の代理署名を拒否して国に提訴される。この時の総理大臣の村山富市の官僚的な態度は、その後任の橋本龍太郎の柔軟な姿勢と対照的に見えた。橋本は何度も大田に会い、情に厚そうな表情や態度を見せる。

確か17回目に会って2人は決裂するが、大田が一時期普天間の移転を認めた時の『ニュース23』のキャスター、筑紫哲也が「だますな」という文字を掲げて怒りの表明をしたのも迫力があった。かつてはこういう人が毎晩自由に発言するテレビ番組があった。

大田は知事選で稲嶺に敗れるが、稲嶺自身が「大田さんを引きずり落としたのはぜんぶ翁長さんですよ」と証言する。確かに県議時代の翁長の大田批判は凄まじかった。大田は後に参議院議員になるが、大田が安倍首相(第一次)に「沖縄の将来はどうなりますか」と聞くと「明るい未来です」と笑いながら答えるのに唖然とする。

翁長は、知事選で自分が選対本部長を務めた仲井眞が辺野古移転を容認すると反旗を翻し、知事選に立候補して圧勝する。彼は人を介して大田に会いに行くが、大田は目の前の翁長と話そうとしない。翁長は「辺野古が唯一」を繰り返す第二次安倍政権と正面衝突し、菅官房長官が沖縄に来て「粛々と」と何度か言うと「あなたの「粛々と」は「問答無用」に聞こえます」と言い放つ。

そして辺野古埋め立て承認の取り消しによって国と法廷で争って負けた。妻は「県知事になった日の夜、どうせダメでも徹底的に反対する姿を国内外に何度でも見せることに意義があると語っていました」と言った。確かにジュネーヴの国連人権委員会にまで行って抗議するのだから。そして「安倍総理の「日本を取り戻す」の「日本」に沖縄は入っていますか?」と声を挙げ続ける。癌になってからの風貌は壮絶だ。

大田は晩年は翁長を認めていたが、会うことはなかった。稲嶺は「あの2人はそっくりですよ」と語る。国に徹底して逆らった2人の沖縄県知事の姿は、この映画によって深く刻み込まれた。必見。

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