たまに断酒をすると
いつから毎晩酒を飲むようになったのか、どうも記憶にない。間違いないのは、会社員を始めた頃は自分1人では飲まなかったことだ。酒は学生の時から好きだったが、飲むのは誰かと会う時だった。だから仕事が終わってまっすぐ家に帰る時は、最寄り駅の近くで酒なしで食べてそのまま家に帰って寝た。
ところがそういう時にだんだんビールを飲むようになった。仕事が早く終わると水泳を始めたので、その後に町中華でビールを飲むのはうまかった。毎晩飲むようになったのは、たぶん30歳を過ぎて新聞社に転職してからではないか。
新聞社では夜の9時くらいまで仕事をして、それから同僚と飲んで帰ることが多かった。そもそもイベント部門だから、仕事でもやたらにパーティや夕食会があった。そんなこんなでたまにまっすぐ家に帰っても、酒は当たり前になった。そのうえ、ワインを覚えていろいろな種類を買った。
さらに焼酎のおいしさも知った。ビール、日本酒、焼酎、ワイン、コニャックなどあらゆる酒を常備するようになった。そうして40代後半で大学に転職してからも、家でも外でも毎晩酒を飲む習慣は続いた。
ところが最近になって、酒を控える友人が増えた。さすがにみんな還暦を過ぎて、肝機能や血圧やコレステロールの数値が気になりだした。全く飲まなくなったという知り合いも数人いるし、週に3回までに決めたという者もいる。
私も3カ月ほど前から、週に1回か2回は全く酒を飲まない日を作ってみた。最初は苦しかった。やはり仕事の後だと、どうしても飲みたい。とりあえずノンアルコールビールにすると、思いのほか気分転換になった。その後はウーロン茶などで何とかごまかした。
気づいたのは、飲まないと食事がすぐ終わってしまうこと。そしてその後目が冴えているのにすることはない。これまでは酒を飲みながらゆっくり食べて、その後は音楽を聴いたり画集を見たりしているうちに眠くなるのが常だった。だから食後はメールも書かないし、仕事は一切しないことにしていた。
ところが飲まないと、本は読めるし映画も寝ないで見られることに気がついた。当たり前のことだが、これは時間ができたと覆った。さて本を読んで寝てみるが、今度は眠くならない。酒の後の酩酊状態だとすぐに眠るが、それがないとどうやって眠るのかもわからなくなっていた。
そんな日を週に1度か2度過ごすと、しばらくしたらすぐに眠られるようになった。朝起きたら、むしろよく眠った感じがする。そんなこんなで3カ月がたって健康診断を受けたら、もともと正常値の上の方だった肝機能などがずいぶんよくなっている。大きいのは血圧が下がったこと。
そういうわけで、「たまに断酒」の生活を続けている。これから断酒が増えるか、もとに戻るかは自分でもわからない。
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