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2025年8月26日 (火)

『野戦軍楽隊』を見る

ここに書いたように、東京国立近代美術館では「記録をひらく 記憶をつむぐ」と題して実は戦争画を大量に展示している。かつてはそこに属していた国立映画アーカイブでは、同じようにアメリカから返還された映画群をこの夏に「返還映画コレクション(3)――第二次・劇映画篇」として上映した。

私がようやく行ったのは最終日で、マキノ正博監督の『野戦軍楽隊』(1944年)。「情報局が公募した「国民映画脚本」の入選作を野田高梧が脚色」という点が妙に気になったのと、キャストの豪華さにつられた。

中国に野戦軍楽隊が作られ、教官として着任するのが佐分利信演じる園田少尉。楽器のできる者とそうでない者を12名ずつ組み合わせて、練習が始まる。東京音楽学校出の上原謙はクラリネットを佐野周二と組むが、佐野は音楽嫌いで全くやる気がない。逃げてばかりの佐野を上原は何とか説き伏せる。

佐分利信の上司は小杉勇。さらにトランペットは杉狂児と三井弘次(本作では三井秀夫)のコンビで大いに笑わせる。さらに加えて終盤に楽隊に合わせて中国語の歌を披露する謎の娘役として、李香蘭が忽然と現れる。たぶんこの部分だけは別に撮影しているが、松竹三羽烏に小杉勇と李香蘭だから、なかなかに華やか。

そして驚くべきは、明らかに中国で撮影していること。おそらく楽団の練習のような室内のシーンをスタジオで撮影して、大勢の中国人たちの前で楽団が演奏するシーンなどは数日かけて中国で撮ったに違いない。それにしても1944年にそんな余裕があったのか。松竹下賀茂の製作だが、情報局の仕事だからできたのだろうか。

佐分利信、佐野周二、上原謙はみんな坊主刈りで、台詞も動きも完全に軍隊調。特に上官の佐分利信はかなり軍人の雰囲気が出ている。最後に中国人の娘(李香蘭ではない)が中国語で語る。「日本は中国と共に英米と戦っているが、重慶の抗日政府はそれを理解していない。中国人は日本が自分たちのために戦っていることを知らなければいけない」。いかにもとってつけたような演説だが、これは日本国内向けであると同時に、中国向けもねらったのかも。

この映画を見た後、7Fで展覧会「映画監督 森田芳光」を見た。大きな暖簾に始まって『家族ゲーム』の例の1列に並ぶテーブルや森田の書斎が再現されていたり、引き出しの形で手紙や企画書や絵コンテを見ることができたり、映画の小道具を展示したりと実に芸が細かい。

それにしても全作品のポスターを見て改めて思ったのは、私は彼の監督作品をあまり見ていないこと。『の・ようなもの』『家族ゲーム』『ときめきに死す』『それから』『阿修羅のごとく』くらいかもしれない。だから残念ながらその細部をあまり楽しむことはできなかった。

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