『DREAMS』の不思議な魅力
9月5日公開のノルウェー映画『DREAMS』を試写で見た。監督はダーグ・ヨハン・ハウゲルードだが、1本も見たことはない。彼が昨年作った3本を「オスロ、3つの愛の風景」として一挙に公開するという。
ほかの2本は『SEX』と『LOVE』でそれぞれ昨年ベルリンとベネチアの国際映画祭に出品されており、今回見た『DREAMS』は今年のベルリンの金熊賞。監督は1964年生まれで既にノルウェーでは巨匠のようだが、国際映画祭が認めたのは最近なのかもしれない。
さて『DREAMS』を見始めた時は、17歳の女子高生ヨハンネがお洒落な30歳代の女の先生ヨハンナに惹かれて自宅に通いだすという展開で、あまりにスイスイ進むので乗れなかった。ところがおもしろくなるのは1年後、彼女がその初恋を手記に書いてから。
ある時、彼女はその手記を祖母に見せることにする。祖母は詩人だし、母親よりもずっと自由に思えたから。祖母が手記を読みだすと、ヨハンネの行動が再現されてゆく。するとだんだん彼女の心の綾が見えてくる。
詩人の祖母はその文章に才能を感じ、母にも読ませることにした。母は最初は性的な表現を心配するが、だんだんおもしろいと思いだす。ヨハンネは祖母が印字して母に渡したことを怒るが、母は気にせず読み続ける。そして娘の日々が時おり再現される。その過程で先生のヨハンナには別の相手がいたことが明らかになる。
母は祖母と出版すべきだという結論に達し、先生のヨハンナに会いに行く。先生はいかにもクールで、自分には別に好きな女性がいて「娘とはそんなつもりは全くなかった」と言い、関係を否定する。それでも出版には同意した。
それから1年後の話まであって、映画は終わる。おかしなことに見終わると何とも爽やかな気分になった。母も祖母も娘が女性を好きになったことは全く問題にせず、むしろ何とかかばおうとする。3世代を貫く女性同士の連帯(=シスターフッド)というのは映画では初めて見る気がするが、何とも全く自然だった。
手記による再現という語りの重層性に加えて、日本では考えられないような自由な人間関係に魅了されてしまった。特に「もっと男と知り合えばよかった」という祖母が実に魅力的でおかしかった。ありきたりだが、「北欧ならでは」と言いたくなった。
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