一年ぶりのヨーロッパ:その(1)
昨年9月に続いて、今年もヨーロッパに小旅行をした。2013年あたりから2019年まではベネチア国際映画祭のレポートを日刊紙に書くために10日間フルでベネチアに滞在していたが、コロナ禍で行けなくなったら急にその熱が冷めた。毎日3、4本の新作を英語字幕で見ると考えたら、気が重くなった。
ちょうど海外渡航ができなくなった2020年の5月に最初の単著『美術展の不都合な真実』を出したこともあった。これは執筆を依頼された本だったが、急にもっと本を書きたくなった。2022年あたりから比較的楽に海外に行けるようになっても、本を書いていると精神的な余裕がなくなった。
昨年パリとイスタンブールに行ったのは、3冊目の本『ヌーヴェル・ヴァーグ』をほぼ書き終えたから。これは今年の4月に出たが、去年の8月末に原稿はできていた。さて今年は5月から次の本に取りかかろうと思ったが、テーマをいろいろ考えて資料を集めているうちに夏になった。
たまたまブリュッセルの友人から連絡があったこともあり、パリとブリュッセルに行くことにした。驚いたのは航空運賃が高くなったこと。羽田発の夜便のパリ直行便で自分に都合のよい日程となると、夏はエールフランス(=AF)でも日系でもエコノミーで20万円は軽く超す。
かつてはプレミアムエコノミーというビジネスとエコノミーの中間に乗っていたが、AFの往復で30万円前後だった。今は曜日にもよるが50万円に近いことも。そんなこんなでいろいろ考えて、行きはプレミアム、帰りはエコノミーにした。
プレミアムは依然と変わらない。座席が前後左右に少し広いだけで、食事は同じ。しかし「少し広い」は大きな意味を持つ。帰りにエコノミーにしたのはブロックの最前列で足が延ばせる席があったからだが、それでも左右は狭いしリクライニングをを倒せるのもほんの少し。
それよりエコノミーでびっくりしたのは、歯磨きや歯ブラシ、目隠し、耳栓、スリッパの代わりの靴下などがないこと。かつてはどの航空会社も最低限のものとしてあったのだが。それからナイフなどの材質が木だったことも新鮮だった。おそらくAFのエコロジー的な発想なのだろうが、いつまで続くだろうか。
それから日本人以外の外国人が増えた。フランス人も増えたが、それ以外の英語、ドイツ語、スペイン語やイタリア語などを話す人々がぐっと多くなった。日本旅行が世界的なブームになっているのだろう。だから行きも帰りも飛行機は満杯。乗務員に聞くとAFは成田も含めて週3便飛ばしているが、ここ2、3年はいつもこうらしい。
羽田発の夜便でパリも夜発は料金が高いが、少しは眠れるので時差ボケがあまりないし、時間の節約になる。高齢なので、もうこれ以外は難しい。
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