1年ぶりのヨーロッパ:その(5)
ではパリで何をしていたのか。4晩のうち2晩はいつもの友人と、あとの2晩はほかの面々と夕食だった。昼間は展覧会をいくつか見て映画を1本見て、あとはウロウロした。一番気持ちよかったのは、パリの街中を1時間ほど歩いたことか。
午後、ポンピドゥー・センター前のカフェでかつて展覧会を一緒にやったフランス人にシャンパンをご馳走になり、いい気分で急にホテルまで歩こうと思い立った。ポンピドゥー・センターの裏からパリ市庁舎の横を通ってシテ島に渡り、ものすごい列ができているノートルダム寺院の横を通り過ぎてセーヌを渡り、5区へ。
そこから後は観光地はなく、大学など教育施設が建つサン・ジャック通りをひたすらまっすぐ歩く。40年前にこのあたりの中華でよく食べたとか、ここに昔名画座があったとか思い出にふけっていたら、左手に大きなパンテオン寺院が出てきた。その裏手に回ってムフタール通りを降りる。
ムフタール通りでひと夏を過ごしたのは、1986年か。そのアパートを探したがわからずじまい。さらに通りを下ってゴブラン大通りに出たら、もう13区になって、あっという間にホテルへ。地下鉄だと30分で歩くと倍くらいかかったが、涼しいパリをノスタルジーに耽りながら歩いたのは、実に快適だった。こんなにパリを歩いたのは、たぶん40年ぶり。
展覧会ではグラン・パレで見た「ユーフォリア!」展に驚いた。これは「バルーン・ミュージアム」という組織が多くの現代美術作家に依頼した、風船を使った体験型のアート。後で調べたら「ユーフォリア!」以外にも「レッツ、フライ!」とか4種の展覧会があって、欧米の大都市で開催されている。「ユーフォリア!」はパリの後、ミラノでやっているようだ。
子供を連れた家族が多いが、普通に大人だけでも十分に楽しめる。風船を満たした海のような空間で溺れると書いてもわからないだろう。参加している作家に知っている名前はなかったが、とにかく一見の価値あり。遠くないうちに日本に来るだろう。
次におもしろかったのは、ポンピドゥー・センターの「ウォルフガング・ティルマンス展」。ドイツの写真家で退屈な日常を撮り続けている作品を日本でも見たが、同センターの改修で美術部門が閉じ、長年、図書館に使われた空間で開かれたこの展覧会を見ると、全く違って見えた。
この図書館はパリでほとんど唯一、誰でも入れる場所だ。莫大な図書はもちろん、新聞、雑誌も豊富で、ちょっと調べるのに都合がよかった。その椅子や机を半分残して、多くの写真が展示されている。とりわけ奥の音楽付きの映像が不思議な魅力を発していた。今日はここまで。
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