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2025年11月11日 (火)

東京国際映画祭はよくなったのか:その(6)

東京国際映画祭は安藤裕康チェアマン、市山尚三プログラミング・ディレクター、石坂健二シニア・プログラマーの体制が今年で5年目となり、少なくとも上映作品の外国からの見栄えはずいぶんよくなった。なぜ東京でこのラインナップなのか、というのはある程度明確になったと思う。

それでも、会場で出会った外国人に話を聞くと、例えば「山形のドキュメンタリー映画祭の方がいい」とか「釜山国際映画祭の方が上」という声が挙がる。もちろんそれは、山形や釜山のような地方都市には特有の魅力があり、街が小さいので関係者が集いやすいということが一番だ。

山形には1人で作品を選ぶディレクター制もなければ、ワールドプレミア(WP)も狙っていない。あくまで映画好きからなる委員が話し合いで見応えのある作品を選ぶ姿勢が一貫している。そのうえ、今年のアメリカン・ダイレクト・シネマのような特集上映が充実している。そして香味庵のような夜集まる場所も用意されている。

釜山は私は1度しか行っていないが、まず1996年の創設当初からディレクターがはっきりしており、世界中からWPを集める。そのうえ、カンヌなどの三大映画祭と同じく映画祭専用の「映画宮殿」がある。海に面した小ぶりの都市なので、関係者が集いやすい。

果たして東京はと考えると、大都市のうえに専用会場がなく、会場は日比谷、有楽町、銀座に分散している。関係者が集う場所がなく、別々に映画を見るだけになってしまう。コンペの作品さえ、記者会見がないことが多い。

上映会場は今年から旧日劇のヒューリックホールも使っていたが、朝日ホールや松竹の映画館も含めてあのビルに集中したらどうか。そうすれば朝日スクエアやギャラリーなどを記者会見場や関係者が自然に集うような場所にできるのでは。今も使っているヒューマントラストシネマ有楽町も近い。もちろん、TOHOシネマズ日比谷に集中できたらいいのだけれど。

それからこれはもう書いたが、オープニングの『てっぺんの向こうにあなたがいる』やセンターピースの『TOKYOタクシー』は佳作ではあるが、国際映画祭向きではない。あくまで日本の興行を前提にした内向きで保守的な選択だと思う。今年の審査員の1人に『てっぺん』の感想を聞いたら、「まあ、日本人向けでしょう」と言っていた。そのうえ、2本ともWPではないのだから、やはり違うのではないか。

もう1つ。もっと日本映画を見せた方がいいのではないか。この映画祭に参加する外国人と話すと、新聞記者でもコンペを追いかけている人は極めて少ない。みんな日本映画を探して見ている。去年の映画祭以降、海外で注目を浴びた映画や国内で話題になった作品は全部見せてもいいのでは。それから各社が取り組んでいるデジタル復元の古典も、1年分上映したらどうだろう。

今回からチラシやポスターのデザインが変わり、すっきりして「東京」の感じが出たと思う。さらに言えば、映画館で流す予告編もダサいので代えて欲しい。それから、各作品の前に流す前付け映像がこの映画祭にはない。三大映画祭にはあるし、ベネチアなどは頻繁に変えている。山形さえも毎回作っている。これは来年必ずやって欲しい。

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