『白の花実』を見る
東京国際映画祭で話題になっており、「毎日」や「読売」の映画評でも絶賛されていた坂本悠花監督の『白の花実』を劇場で見た。東京芸大大学院卒でビターズ・エンドの製作・配給というのも「大型新人」の感じがしたから。
見てみると、期待ほどではなかった。キリスト教系の寄宿制女子高が舞台というだけで、少女漫画やファンタジーやホラーもの映画を思わせる。出だしで主人公の杏菜が両親に連れられて、湖のほとりにある古めかしい学校に入っていく場面で「あるある」と思った。
私の大学の卒業制作でも、女子高を舞台にした作品は女子がよく作りたがる。もちろんこの映画はそんな安易な作品でなくしっかり作られているが、さまざまな方向にベクトルが向いているのにどこにもたどり着かない気がした。
杏菜がどうも母親とうまく行っていないのは、最初からわかる。彼女は学校の規則にも反発する。あるいは後半には自殺した莉花の父親への反発も出てくる。さらに事なかれ主義の女性理事長や自殺をめぐる調査委員会のいいかげんさを訴えるかと思うと、これもちょっと違う。先生役の門脇麦の終盤の学校批判はあるけれど、唐突な気もした。
杏菜は最初から幻を見るし、それは後でも出てくる。そして彼女には死んだ莉花が乗り移ったように見えることもある。そんなスピリチュアルな世界を描くのかとも思ったが、それは時々出てくるだけ。莉花の日記も思ったほど役割を果たさない。
それから杏菜と莉花や栞との少女同士の同性愛的な要素も出てくるけれど、それは垣間見えるだけで発展しない。森や湖に囲まれた環境の寄宿舎で、ちょっと古めかしい制服を着てリボンをつけ、なぜか黄色い靴下をはくような少女趣味は満載しているが、それは見ていて美しいだけ。
それでも全体の演出に破綻はないし脇役もしっかりしているので、最後まで見るとそれなりの見ごたえはある。次の作品に期待できそうだ。
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