NHKプラスからONEへ
年末年始にNHKの過去の番組を配信で2つ見た。「NHKプラス」では最近の放映分を一定期間見られたので、前に朝ドラの「あんぱん」をいくつか見たことがあった。これが「NHK ONE」に代わって苦労したが、なんとか年末に放映した「映像の世紀 バタフライエフェクト スクリーンの中の東京百年」を見た。
どこかでこの番組の宣伝があり、小津安二郎監督と俳優の佐野周二が中国の戦場で抱き合って笑っている写真を目にして、見たいと思った。「スクリーンの中の東京百年」だから何が出てくるだろうと期待した。最初は1920年代の関東大震災の記録映像やその後に作られたサイレント映画の映像でちょっとおもしろいかなと思ったが、その後がダメだった。
小津安二郎が上京した話に始まって蒲田撮影所のカレーライス事件が出てくるが、城戸四郎撮影所長も小津より先にカレーが運ばれた牛原虚彦監督も名前が出てこない。戦前では『東京の合唱』(31)のみ出てくるが、これより『一人息子』(36)や『父ありき』(42)の方がずっと「東京」を感じるのでは。
それからいきなり木下恵介の『陸軍』(44)に飛んで、田中絹代が息子を追いかけるシーンが出てくる。あの場面は福岡なのだが。そして戦後になると接吻映画が少し出てきた後は、小津のオンパレード。
『長屋紳士録』(48)の飯田蝶子と笠智衆のシーンとなり、それから『東京物語』(53)で笠智衆が東山千栄子と原節子に連れられて松屋デパートに行き、原のアパートに行く。東山の死後は笠が原に東山の時計を渡す尾道のシーン。
それからは吉永小百合が浜田光夫と出ている60年代のカラー映画(題名忘れた)があって、また小津の『秋刀魚の味』(62)になり、笠智衆に岩下志麻や岸田今日子が出てくる。要はスター女優を見せたかったのか。
その後に突然『ラブ&ポップ』(98)のコギャルの話になる。若い仲間由紀恵が出ていた。彼女たちが4人で渋谷川を歩くエンディングをしっかり見せる。はたしてこのどこが「スクリーンの中の東京百年」だろうか。
それから数日後に見た「NHKスペシャル」の「Last Days 坂本龍一 最期の日々」は2024年4月に放映したものだが、なぜか今見ることができた。これはすばらしかった。2023年3月28日に亡くなった坂本龍一の最後の数年を追った静かな映画だ。半分は家族が撮ったに違いない映像が使われているし、手書きの日記やスマホに書かれたメモもたくさん出てくる。
癌の診断を受けてからの治療への迷いや不安の中で、彼は東北ユースオーケストラの指揮をして、NHKで録音・録画をこなす。最後は病床で枕元に置いた鐘などの音のするものや外の雨の音を聞きながら過ごす。亡くなる2日前に東北ユースオーケストラの演奏をスマホで生で聞くシーンといったら。
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コメント
私も「スクリーンの中の東京百年」にはがっかりしました。映画のことも、東京のことも、大して関心のない人たちが作ったんじゃないですかねえ。映画愛も東京愛も感じられませんでした。極めて中途半端な番組でした。
投稿: 石飛徳樹 | 2026年1月 6日 (火) 09時58分